14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利の低下や日米株価指数先物の下落を背景にリスク回避の円買い・ドル売りで153.62円まで下押ししたものの、米長期金利が上昇に転じ、日米株価が底堅く推移したことで154.74円付近まで持ち直した。ユーロドルは米長期金利の低下で1.1654ドルまで上昇後、1.1606ドルまで反落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、7-9月期実質国内総生産(GDP)速報値を見極めた後は、155円を巡る攻防戦に警戒していく展開が予想される。
8時50分に発表される7-9月期実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比▲0.6%、前期比年率▲2.4%と予想されており、6期ぶりのマイナス成長への転落が見込まれている。
物価高の影響から、実質個人消費の増加率が前期の前期比+0.4%から大きく鈍化することが見込まれている。さらに、前期に同+2.0%と大幅に増加した輸出が、トランプ関税導入前の駆け込みの反動や関税導入による米国での販売鈍化の影響でマイナスに転じることが見込まれている。
高市政権は、17兆円規模の総合経済対策を策定し、ガソリン税などに上乗せされる旧暫定税率の廃止による大型減税も盛り込むと報じられており、「サナエノミクス」(責任ある積極財政+金融緩和)がドル円を下支えしていく構図が確認されることになる。
一方で、高市政権は、物価高対策を喫緊の政策課題に掲げており、コストプッシュ型インフレに拍車をかける円安を抑制すべきだと思われるが、日銀に対して利上げを抑制するスタンスは矛盾していることになる。
さらに、物価高対策としての積極財政が、円安を通じて物価高対策の効果を削ぎかねないことも矛盾点となっている。
円安の抑制を管轄している財務省からは、ドル売り・円買い介入が示唆される「断固たる措置」などの強い口先介入は今のところ発せられていない。
三村財務官は5日に「ドル円の動きと日米の公債の金利差の推移を見ると、最近はやや乖離が見られる」「ボラティリティーの変動がファンダメンタルズに関連する要因で必ずしも説明できない場合、やや無秩序なあるいは過度な動きと言える」と述べた。
片山財務相は12日に、「為替相場の動向の経済への影響はプラス面、マイナス面があるが、マイナス面が目立ってきたことは否定しない」「投機的な動向を含め、為替市場の過度な変動や無秩序な動きについて高い緊張感を持って見極めている」と述べたが、155円が防戦ラインとは感じられない発言だった。
ドル円の155円を「第1防衛ライン」、160円を「第2防衛ライン」と想定して、昨年14日に米国財務省が公表した「外国為替報告書」での円安牽制の文言の変化を待つことになるのかもしれない。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
