11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、8月米消費者物価指数(CPI)の前月比が予想を上回ったことで148.17円まで上昇後、米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容だったことや10年債利回りが一時3.9921%前後まで低下したことで146.99円まで反落した。ユーロドルは8月米CPI発表直後に1.1662ドルまで下落後、米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りで1.1746ドルまで反発した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、来週16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測から軟調な展開が予想される中、自民党総裁選関連のヘッドラインやトランプ大統領の突発的な発言には引き続き警戒しておきたい。
昨日のドル円は、金融引き締めに消極的とみられる高市前経済安全保障担当相が自民党総裁選出馬の意向を示したとの報道を受けて、148円前後まで上昇する局面があったことで、今後も10月4日に投開票が予定されている自民党総裁選に関連するヘッドラインには警戒しておきたい。
昨年9月に行われた総裁選に際しては、23日に有力候補だった高市氏が日銀の金融政策について「金利を今、上げるのはアホやと思う」と発言したことで、ドル円は143円台から144円台に上昇した。27日の投開票では、1度目の投票で高市氏が石破氏を上回り、ドル円146.49円まで円安に振れたが、決選投票で石破氏が勝利すると142.07円まで円高が進むという乱高下となった。
8月末のジャクソンホール会合では、パウエルFRB議長は、「リスク・バランス(「雇用の最大化」vs「物価の安定」)はシフトしており、政策スタンスの変更を保証する可能性がある」と述べて、FRBの2つの責務のバランスを、「物価の安定」から「雇用の最大化」に傾けた。
パウエルFRB議長は、夏にかけてトランプ関税の影響で物価上昇が顕在化すると述べていたが、8月の米国の物価状況は以下の通りとなっている。
■物価の安定
・卸売物価指数(PPI):前月比▲0.1%、前年比+2.6%
・消費者物価指数(CPI):前月比+0.4%、前年比+2.9%
8月の雇用統計は以下の通り、労働市場の悪化を示した。
■雇用の最大化
・失業率:4.3%(※完全雇用水準:4.2%)
・非農業部門雇用者数:前月比+2.2万人(※健全な労働市場:月平均+15万人)
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月に0.25%の利下げを予想する確率は約94.0%、0.50%の利下げ確率は約6.0%となっており、9月の利下げを完全に織り込んでいる。そして、10月と12月のFOMCでも利下げが予想されており、12月のFF金利誘導目標の見通しは3.50-75%となっている。
ドル円のテクニカル分析では、8月1日の高値150.92円を頭、左肩が149.18円、右肩が149.14円、ネック・ラインが145.86円~146.21円~146.31円の「ヘッド・アンド・ショルダー」を形成中と見なせる。
本日は、上値抵抗線として、一目・基準線147.68円、一目・転換線147.73円、雲の上限148.16円(昨日高値:148.17円)、下値支持線として、雲の下限146.65円を念頭に相場に臨んでいきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
