昨日の海外市場でドル円は、148.94円と8月1日以来約1カ月ぶりの高値を付けた。日本の政局不安が高まる中、全般円売りが先行し、また対欧州通貨中心にドル買いが進んだ影響も受けた。ただ米経済指標が予想より弱かったことが重しとなり、一時148円を割り込む場面もあった。ユーロドルは、一時1.1613ドルまで弱含んだ。仏政治リスクや英財政悪化への懸念から欧州債利回りが上昇すると、投資家心理が悪化して欧州株安とユーロ安が進んだ。
本日の東京時間でのドル円は、約1カ月ぶりにレンジの上限を上抜けたこともあり、下値が堅くなるか。ただ、同じ政局不安を抱える欧州国の通貨は、昨日こそは弱含んだものの、大きな枠ではドル安相場が続いており、ドル高一辺倒になりにくいと見る。
昨日は氷見野日銀副総裁が利上げに対してはやや慎重な姿勢を見せ、これをきっかけに円が売られ始めた。その後、自民党両院議員総会が開始されると、政局不安により円売りに拍車がかかった。
本日の円相場は、これまで利上げを過度に期待していた本邦債券市場の動きを確認し、自民党内の情勢や、トランプ大統領の突発的発言などに注視する展開になるだろう。また本日から週末5日まで、米国から雇用指標が立て続けに発表されることで、NY入り後は相場の雰囲気が変わる可能性もあるか。
昨日こそは日銀利上げ期待がやや弱まったものの、氷見野副総裁は、基調的なインフレ率は2%に近づき「引き続き政策金利引き上げ」で金融緩和の度合いを調整することに言及していた。一方で、CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウォッチ」では、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は91%超えまで達している。日米の金融政策の方向性の違いは、引き続きドル売り・円買い要因ということは変わらない。ただ、利上げ期待が高まりすぎていたため、円買いのスピード調整が数日続く可能性がある。
自民党総裁選に関しては、まもなく85歳を迎えるキングメーカーの麻生自民党最高顧問が、前倒し実施を要求している。一部世論は、裏金問題や統一教会等の問題を抱える自民党議員が、再び過去の政治を踏襲することに嫌気を差し、積極的ではないものの「石破首相の続投」を支持する声もある。総裁選の行方が不透明なことや、仮に総裁が変わった場合は、財政出動により株高・円安などを連想する声も多いことで、海外投資家は円売りに反応しやすいだろう。石破首相が続投する可能性や次期総裁候補を予想するのも難しく、混迷する政治状況を引き続き注視する必要がある。
アジア時間午前は、トランプ米大統領の突発的に発せられるSNSでの発言にも要注意。先週トランプ関税について二審でも違憲判断が出たことについて、大統領は3日にも連邦最高裁に上訴する方針を示した。現在の最高裁はトランプ派とよばれる保守が6対3で優位だが、ニューヨーク・タイムズは「政府が勝訴する保証はない」と報じるなど予断が許さない状況。他にもクック米連邦準備理事会(FRB)理事の去就の問題などもあり、引き続きトランプ大統領がどのようなコメントを投稿するかが読めない。
円以外では、豪州から4-6月期国内総生産(GDP)が発表され、豪ドルの値動きに注目。市場予想は、前年比で前回1.3%増から1.6%増に改善見込み。もっとも大規模なインフラ・プロジェクトが上昇要因とされ、民間需要は依然として弱いままだろう。また日本時間17時過ぎには、ブロックRBA(豪準備銀行)総裁が講演予定。GDP発表後だけでなく、結果を受けたRBA総裁による今後の見通しが豪ドルを動意づけることになりそうだ。
なお、本日から8日まで米国から雇用指標の発表が相次ぐ。本日は7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数、明日4日は8月チャレンジャー人員削減数、8月ADP雇用統計、そして、5日には8月雇用統計が発表予定。先月の雇用統計ショックもあり、今週の雇用指標はこれまで以上に注目されている。NY入り後の急変リスクにも備えたい。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
