昨日の海外市場でドル円は、一時147.94円まで値を上げた。対ユーロを中心にドル買いが進んだ流れや、米長期金利の上昇が相場の支えとなった。ユーロドルは、持ち高調整目的のドル買い戻しが進み、一時1.1603ドルまで下押し。FRB議長による講演後の上昇分を全て吐き出した格好となった。
本日の東京時間でのドル円は、需給面でのドル買い・円売りとファンダメンタルズ面でのドル売り・円買いが拮抗するか。
先週後半は148円台での取引が続いたことで、昨日は水準的に値ごろ感があり、東京時間からドル買いが優勢となった。また、8月末のリバランスのためにドル買い需給も観測されているとの話もドルを支えている。本日も引き続き需給面ではドル買いが下値を支えそうだ。
一方で、日米の金融政策の方向性の違い(米連邦準備理事会=FRBの利下げ、日銀の利上げ)で金利差が縮小する傾向がドル円の重しになる。更に、トランプ米大統領がクックFRB理事を政治的圧力で辞任に追い込もうとしているため、FRBがハト派に支配されることや、FRBの独立性が懸念されることなども、ドル売り要因として重くのしかかるだろう。
もっとも本日は材料難ということもあり、アジア時間で大きなレンジを作る動きを期待するのは難しいか。本日は本邦からは7月企業向けサービス価格指数が公表されるだけで、直接日銀の金融政策の方向性を探ることは難しい。28日に行われる山口県金融経済懇談会での中川審議委員の挨拶や、29日に発表される全国の消費者物価指数(CPI)の前哨戦となる8月東京都区部CPIの発表までは方向感が出にくいだろう。また、米国からも7月米個人消費支出(PCE)デフレーターなどが今週末29日発表されることで、インフレ指標を確認するまでは動意づきにくそうだ。
円以外では、8月11-12日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表されるため、豪ドルの値動きには気を付けたい。ここ最近は、理事会直後に発表される声明文と議事要旨の間では大きな差がなく、市場の反応は限られているが、利下げに対して積極的な発言が明らかになった場合は豪ドル売りを促しそうだ。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
