
本日の東京外国為替市場のドル円は、米6月雇用統計で米雇用情勢の悪化懸念が後退したことで底堅い展開が予想される。しかしながら、トランプ米大統領が対日相互関税率の引き上げの可能性を警告していることで、上値も重くなりそうだ。
ドル円の一目均衡表での注目水準は、145円台では、基準線145.21円と雲の上限145.55円、144円台では雲の下限144.76円と転換線144.44円となっており、米国が独立記念日の休場で閑散取引が予想される中で、念頭に置いて相場に臨みたい。
米6月雇用統計は失業率が4.1%で、5月の4.2%から低下、非農業部門雇用者数は前月比+14.7万人で、5月の同比+14.4万人(修正値)から増加した。政府雇用者数が7.3万人増加したものの、民間雇用者数は7.4万人の増加に留まったこと、失業率の低下は13万人が労働力から離脱したことが要因となっている。
さらに、6月の貿易赤字は輸出の減少により715.17億ドルとなり、今年1-5月は5223.75億ドルとなり、昨年同時期の3473.40億ドルから50%増えていた。
第2次トランプ米政権は、貿易赤字の削減を標榜してトランプ関税を打ち出しているものの、貿易赤字が大幅に拡大していることで、高関税率が賦課される可能性が高まっている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCでの0.25%の利下げの可能性はなくなったものの、ベッセント米財務長官による利下げ圧力を受けて、依然として年内2回の利下げが見込まれている。
また、トランプ米大統領が本日の独立記念日に署名することになっている大規模な減税・歳出法案「Big, Beautiful Bill(大きく美しい法案)」は、米下院で賛成218票対反対214票の僅差で可決されたことで、目論見通りに成立することになる。
大規模な減税・歳出法案が成立して、債務上限も引き上げられることで、2011年8月のような米国債ショックの再現の可能性は低下している。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ