
スターマー英首相が率いる労働党政権は、公約に社会保障改革を掲げていた。しかしながら今開かれている議会で、改革の重要部分である「福祉予算の50億ポンド削減案」を労働党議員らが撤回に追い込んだ。
リーブス財務相は財政赤字の抑制を目指していたが、社会保障改革の遅れにより英財政悪化への懸念が高まった。そういったなか、スターマー英首相がリーブス氏への全面的な支持について明言を避けたことが、英債券市場を混乱に陥れた。
その後、英首相サイドはリーブス氏の全面支援を表明。オセアニア時間にも、スターマー首相が強い関係性を訴え、「リーブス氏は今後何年も財務相を務める」との発言も伝わった。しかしながら、ポンドの主要通貨に対する売りは止んだとはいえ、上値はまだ重いと言える。
これからリーブス財務相の続投が明らかになったとしても、社会保障改革の核となる部分が抜け落ちるとなれば、債券市場の参加者は警戒感を高めたままだろう。いずれにせよ、英長期債の不安定な動きは続きそうであり、ポンドも神経質に上下する展開となりそうだ。
他、欧州の6月サービス部門購買担当者景気指数(PMI)が発表されるが、こちらは改定値。また、同月5日分の欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨も公表されるものの、その1時間後に発表される6月米雇用統計に市場の目は向くだろう。
想定レンジ上限
・ポンドドル、昨日高値1.3753ドル
・ユーロドル、2021年9月10日高値の1.1851ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、6月24日安値1.3506ドル
・ユーロドル、6月30日安値1.1708ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ