18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ次期政権の政策によりインフレ再燃が懸念され、FRBによる早期利下げ観測が後退していることで155.36円まで上昇。しかしながらその後、米長期金利の低下を受けて154.57円付近まで下押しした。ユーロドルは米10年債利回りが4.40%台まで低下したことで1.0607ドルまで上昇した。ユーロ円は163.98円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、米長期金利の低下で上値が重い展開が予想される。もっとも、FRBの早期利下げ観測が後退したことや日銀の追加利上げ時期が不透明になったことで、下値は限定的だと思われる。注目水準としては、攻防の分岐点である一目均衡表・転換線の154.45円、一目均衡表・基準線の152.80円や200日移動平均線の151.88円などが挙げられる。
今後は、パウエルFRB議長が「経済が弱まれば利下げの余地は大きい」とも述べていたことから、12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、12月6日に発表される米11月雇用統計に要注目となる。また、植田日銀総裁も「12月会合では追加のデータなどを基に適切に政策判断」とも述べていたことから、12月18-19日の日銀金融政策決定会合に向けて、22日に発表される10月の全国消費者物価指数(CPI)などに注目することになる。
植田日銀総裁は、昨日の講演で金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していくことに資するとの見解を示した。さらに、「金融緩和の度合いの調整を実際にどのようなタイミングで進めていくかは、あくまで、先行きの経済・物価・金融情勢次第だ」と述べた。
記者会見で12月会合での利上げの可能性を問われたが、「その時点で適切な判断をする」と述べるに留まり、追加利上げ時期については具体的な言及はなかった。
タカ派的な見解としては、実質金利が低水準にある中で、見通しに応じて緩和調整をしなければ「どこかでインフレ率が急に加速し、急速な金利の引き上げを迫られるという可能性もゼロではない」との指摘が挙げられる。さらに、利上げした7月会合以降の経済・物価は想定通りであり、時期が遅れて後手に回る「ビハインド・ザ・カーブに陥らないように適切に政策判断する」との指摘も挙げられる。
また、円安の影響に関しては、その背後にある経済要因を含めて見通しやリスクへの影響を分析して「各会合で判断していく」と語った。現状のドル円の155円付近の水準は、「輸入物価は再び上昇に転じており、先行き、物価が上振れするリスクには注意する必要がある」と指摘した7月31日の利上げ時の水準(※高値153.88円)を上回っている。植田日銀総裁が「第1の力」として注視している輸入物価指数の10月分は、前月比3.0%上昇と、22年9月(5.3%上昇)以来の高い伸びを記録していた。
9時30分に発表される11月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、声明文でのタカ派的な見解「基調インフレは依然として高すぎる」を確認しながら、金融緩和に転じる時期を見極めることになる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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