執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年11月8日 14時05分
独・三重苦でユーロ高期待は後退、ポンドは英中銀の緩和パスが支え
ユーロ/円は振幅、ポンド/円は底堅い
ユーロ/円はユーロ安・円安の流れから、165.50円を中心とした振幅がしばらく続いた後に、米ドル/円の失速に連れて、164.50円付近まで下げました。米イベントを通じて荒い値動きを期待していたのですが、的が外れました。ポンド円は、米ドル/円の上昇に引っ張られて一時199.552円まで上昇したものの、次第に利益確定売りに押され198.00円割れまで押し戻されました。もっとも、英中銀の利下げペース鈍化期待から、ポンド/円の下げ幅も限定されました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、深夜のFXで好機到来「黒川氏、FOMC攻略で当日損益プラ転!」(2024年11月8日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
トランプ勝利ならドイツ経済の重しに
来週はユーロ圏で7-9月期GDP改定値、英国で7-9月期GDP速報値が発表されます。ユーロ圏の速報値は予想以上の結果となり、経済への過度な不安が若干和らいだこともあり、改定値が上方修正されれば、もう一段不安が後退する期待はあります。しかしながら、ドイツが政治・経済・外交面(連立政権崩壊、自動車メーカーの工場閉鎖計画、トランプ大統領下でのウクライナへの支援拡大、関税賦課)の三重苦観測から、ユーロ圏見通しへの不安が残りユーロは素直に買い進めづらくなっています。
一方で英国は、月次のGDPがさえなかったこともあり、7-9月期は低成長に留まりそうです。ただし、予算案で示された増税規模を遥かに上回る歳出拡大による成長下支えや、インフレ押し上げ期待から、余程悪い結果とならなければ、GDPはポンド相場に影響しないかもしれません。英中銀の漸進的な利下げ継続の可能性はポンドの下値を支えそうです。
ポンド、ダブルトップへの警戒も(テクニカル分析)
ユーロ/円は、短期のサポートラインを割り込み始めたほか、200日移動平均線も下回り始めており、地合いは悪化しつつあります。163.851円の日足一目均衡表・基準線付近で踏み止まれれば、168.00円を目指すことになりそうですが、同ラインを下回ってくるようなら161.00円付近まで調整幅が広がるのではないかと、考えています。
また、ポンド/円は各種トレンドラインが右肩上がりの推移を続けており、底堅さが窺えます。200.00円を超えてくるようなら買いで追随したい局面と考えます。ただし、直近のチャート形状からはダブルトップ形成も視野に入るため、ネックラインとなる196.474円を割り込んだ場合は、調整幅が広がる危険もあり注意が必要です。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:161.000-168.000
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:194.000-202.000
11/11 週のイベント:
一言コメント
立冬の7日(木)に、木枯らし1号とは絶妙なタイミングですね。これから、寒くなるのでご自愛ください。
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