◆ポンド、英雇用データに注目、賃金の減速基調がポイントに
◆ポンド、BOE総裁は金利が徐々に低下との見解
◆加ドル、トランプ次期米大統領が加経済の懸念材料に
予想レンジ
ポンド円 196.00-202.00円
加ドル円 108.50-112.50円
11月11日週の展望
ポンドは英雇用データや国内総生産(GDP)速報値に注目。特にイングランド銀行(英中銀、BOE)が金融政策を決定するうえで判断材料の1つとする平均賃金の上昇率に注視したい。
前回6-8月期の賃金上昇率(ボーナスを除く)は、約2年ぶりの低水準となる前年比4.9%まで減速し、求人数も減少傾向とインフレ圧力の緩和を示す内容だった。ただ英中銀は、0.25%利下げを決定した7日の声明で、「賃金伸び率は依然として高水準」だと指摘している。英政府が先月発表した予算案を受けて、消費者物価指数が前年比0.5%弱押上げられると見込まれるなか、賃金の減速基調が止むようだと「英追加利下げ先延ばし」観測が高まるだろう。
また、今回の7-9月期GDP速報値については、4-6月期が前期比・前年比ともに改定値で下方修正されているほか、最新の英中銀予測でも2024年GDPは1%と8月予測から0.25%下振れしており、足もとでの成長減速はある程度織り込み済みと受けとめておいたほうが良いだろう。2025年GDP予測は1.5%まで持ち直すとされている。
なお、7日の英中銀声明では、政策金利の先行きについて文言は変更されず。「引き続き十分な期間、引き締めを続ける必要がある」、「インフレリスクに注視しながら、会合ごとに引き締め度合いを決定する」と述べられた。ベイリーBOE総裁は会見で「あまりにも急速な、または大幅な利下げはできないが、金利は徐々に低下するだろう」との見解を示した。また、一方では「予算がインフレにどのように影響するか、さらに見極める必要」と過度な思惑をけん制している。
加ドルは、米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が圧勝したことを受けて強まった「トランプ・トレード(米債売りやドル買い)」が継続するのか、または一過性なのかを見定めながらの取引となりそうだ。また、米市場依存度が高い企業が多いカナダにとって、トランプ氏が主張する「保護主義的な貿易政策の強化」も大きな懸念材料。「全ての輸入品に対して一律10%の関税」が実際に導入されれば、年間300億ドルのコストをカナダ経済は被るとの試算もある。他にも、トランプ次期米大統領は、米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に含まれる6年ごとの見直し条項を利用し、協定の再交渉を行う意向を示している。次期米大統領と関係性が良いとは言えないトルドー加首相がどのように交渉するのかが今後の注目ポイント。
11月4日週の回顧
ポンドと加ドルはともに対円で売り先行も、米大統領選のトランプ候補勝利を受けて急騰したドル円に追随して上値を試した。ポンド円は196円半ばから199円半ば、加ドル円が109円付近から111円前半まで上昇した。トランプ・トレードの影響で、対ドルではポンドが1.30ドル半ばから1.28ドル前半まで下落、加ドルが1.38加ドル前半から1.39加ドル半ばまで加ドル安が進行した。その後、英中銀のインフレ見通し上振れでポンドは買い戻され、加ドルも米連邦公開市場委員会(FOMC)にかけて水準を切り上げた。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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