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【市場概況】東京為替見通し=ドル円、「石破トレード(株安・円高)」に要警戒か

27日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、石破自民党新総裁の誕生と8月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)が前年比+2.2%だったこと、米10年債利回りが3.73%台まで低下したことなどで142.07円まで下落した。ユーロドルは米インフレ指標を受けて1.1203ドルまで上昇した後、1.1146ドル付近まで下押しした。ユーロ円は日経平均先物が大証終値比2560円安の3万7290円まで急落したことなどで158.57円まで下落した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、石破自民党新総裁の誕生を受けた先週末海外市場の円買いの流れが継続すると予想される。

 石破自民党新総裁は、デフレ脱却を旗印にした「アベノミクス」(大規模金融緩和・財政出動・円安による成長戦略)が短期的な株価上昇や円安による輸出拡大に成功した一方、長期的には日本の競争力が低下したと評価している。彼は「アベノミクス」を「都市部優先」だと批判しており、経済成長を都市部から地方へと広げるための内需主導型の経済政策が必要だと主張してきた。
 石破自民党新総裁が目指す経済政策「イシバノミクス」は、金融引締め、緊縮財政、円高政策、を指向していると思われる。

 日銀の金融政策に関しては、7月の利上げについて「金融緩和という基本的政策を変えないなかで徐々に金利のある世界を実現していくのは正しい政策だ」と利上げを容認しつつも、「日銀の独立性を尊重する。経済や国民生活に支障が生じない範囲、ペースで正常化されることを期待する」「政府と日銀は緊密に協力すべき、金融政策に関して日銀に要請はしない」「緩和的な金融政策の方針は変わらない」とも述べていた。

 適正な為替水準については「常識的に、ドル円は110円から140円と言われている」と述べていた。

 財政政策に関しては、「必要であれば財政刺激策を実施する」と述べ、金融所得課税の実施にも肯定的な考えを示していた。

 イシバノミクスは、アベノミクスの円安・株高を巻き戻す円高・株安の可能性が警戒されることで、石破内閣の布陣や解散・総選挙に向けて、「石破トレード(株安・円高)」が市場のテーマになる可能性に警戒しておきたい。

 米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している8月分のPCEデフレーターが前年比+2.2%まで低下して、インフレ目標2%に接近したことで、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の追加利下げ(※FF金利誘導目標4.25-50%)の可能性が高まっている。

 さらに、石破自民党総裁の誕生により、10月30-31日の日銀金融政策決定会合での追加利上げの可能性も高まっていることで、ドル売り・円買いに拍車がかかる可能性に警戒しておきたい。
 しかし、石破新総裁が有権者の信任を確保しようと総選挙を断行した場合、日銀は年内の利上げを見合わせる可能性が高まることになる。

 また、イシバノミクスにより、債務削減の取り組みや企業再編の波が起これば、日本企業が海外で保有している資産の日本への還流「レパトリエーション」が誘発されることで、円キャリー取引の巻き戻しに拍車がかかることになる。

(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ