29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利が低下幅を縮小したことなどで、アジア時間の安値153.02円から154.21円付近まで持ち直した。ユーロドルは、米10年債利回りが4.14%台から4.18%台まで低下幅を縮めたことで1.0803ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から日・米金融政策決定会合が始まり、明日発表される日銀金融政策決定会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を控えて動きづらい展開が予想される中、月末に向けた売り買いをこなしていく展開が予想される。
日銀がインフレ目標2%の目安として注視しているコア消費者物価指数(CPI)の6月分は前年比+2.6%だったが、明日の日銀金融政策決定会合で、政策金利(0-0.10%)が0.15%引き上げられるサプライズの確率は40%程度となっている。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ目標2%の目安として注視しているPCEデフレーターの6月分は前年比+2.5%だったが、明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(5.25-50%)が0.25%引き下げられるサプライズの確率は4%程度となっている。
本日から開催される日銀金融政策決定会合では、岸田首相やポスト岸田候補の河野デジタル相、茂木自民党幹事長による日銀への金融政策正常化を要請するかのような発言を受けて、国債買い入れの減額計画に加えて、追加利上げの可能性が警戒されている。
政治日程と絡めれば、自民党総裁選挙は、岸田総裁の任期が満了する9月末の前の10日以内、9月20日から29日までの間に実施される。
そして、日銀金融政策決定会合は9月19-20日に予定されており、日銀が追加利上げを目論んでいるのならば、9月20日よりも明日7月31日の方が無難なのかもしれない。
植田日銀総裁は、6月会合後の記者会見で、「先行き、基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えている」と述べていた。
すなわち、明日、0.15%程度の政策金利引き上げと金融緩和度合いの調整としての国債買い入れの減額計画の同時実施があり得る可能性を示唆していた。
そして、植田日銀総裁は6月18日の国会での発言を最後に、異例ともいえる沈黙を保っており、市場に疑心暗鬼を生み出す要因となっている。
ドル円は、利上げと相応の国債買い入れ減額が決定された場合、長期的な攻防の分岐点である200日移動平均線(151.61円)を下抜けて150円を割り込むシナリオが予想される。
しかし、利上げが見送られた場合、155円を上抜けて上昇することが予想されるものの、FOMC声明を日本時間8月1日の午前3時に控えていることで、上値は限定的だと思われる。
そして、FOMC声明で、現状の金融政策の維持が決定され、パウエルFRB議長が慎重なスタンスを堅持した場合、今年の本邦通貨当局の円買い介入ゾーンである157円~161円に向けた上昇が見込まれることになる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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