4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、中東の地政学リスクの高まりから、原油先物価格が急騰し、米国株相場が下落したことで、リスク・オフの円買い圧力が高まり151.12円まで下落した。ユーロドルは1.0877ドルから1.0832ドルまで下落した。ユーロ円は164.92円から163.80円まで下落した。
ドル円は152円のノックアウトオプションの防戦売りや本邦通貨当局のドル売り・円買い介入への警戒感から151円台後半で伸び悩んでいたが、本日の東京外国為替市場のドル円は今夜発表される米3月雇用統計への警戒感から上値が重い展開が予想される。また、昨日のニューヨーク市場での円買い材料となった報道(イランとイスラエル間をめぐる中東リスクの高まりと植田日銀総裁の追加利上げ検討)の続報にも警戒しておきたい。
イランは、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の敷地内の建物を攻撃したのはイスラエルだと主張して報復を宣言しており、昨日は、48時間以内にイスラエルを攻撃する可能性と報じられた。敵対関係にあるイランとイスラエル両国が直接的に対峙した場合、第5次中東戦争への警戒感が高まることで、中東の地政学リスクが高まりつつある。
第5次中東戦争が勃発した場合、米国がイスラエル側に付くため、有事のドル買いではなくドル売り・円買い要因となるが、原油価格の上昇傾向が続いた場合は、ドル買い・円売り要因となる。
そして、原油価格の上昇と円安基調は、輸入物価の上昇による「第1の力」を台頭させるため、日銀の追加利上げ観測を高めることになる。植田日銀総裁は、3月の日銀金融政策決定会合の後、「基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば短期金利の水準の引き上げにつながる」「為替相場が経済物価見通しに影響を与えるのであれば、金融政策での対処を検討する」と述べていた。なお、昨日の朝日新聞のインタビューでも植田総裁は「物価上昇率2%目標の達成に向けた確度がさらに高まれば、追加利上げを検討する考え」と応えていることで、この続報にも警戒が必要か。
なお、今夜発表される米3月雇用統計の予想は、失業率が3.9%で2月の3.9%と変わらずに高止まり、非農業部門雇用者数は前月比+20.0万人で2月の同比+27.5万人からの増加幅の減少が見込まれており、予想通りならば、ドル売り材料となる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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