◆ドル円、日銀の政策修正への思惑から上値は重い
◆CPIなど米重要指標が予定も、材料視されづらい
◆ユーロドル、早期利下げ期待はそれほど高まらず
予想レンジ
ドル円 144.00-150.00円
ユーロドル 1.0700-1.1100ドル
3月11日週の展望
ドル円は、日銀の早期マイナス金利解除への思惑から上値の重い展開となりそうだ。思惑が高まるきっかけとなったのは6日に「日銀が18-19日に開く金融政策決定会合で、一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通し」との一部報道がヘッドラインで伝わったこと。結果的に一部出席者というのが「少なくとも1名」だったことが分かったため円高が加速するという展開はならなかったが、翌日には海外短期筋が囃すように日銀の早期政策修正を見越して円買いや日本株売り、債券売りを仕掛けた。また、日本最大の労働組合である連合が「今年の春闘における加盟労組の賃上げ要求が1994年以来、30年ぶりに5%を上回った」と発表したことで3月会合でのマイナス金利解除期待が一段と高まる形となっている。
もっとも海外中銀とは違って日銀の場合、たとえマイナス金利を解除したとしても、その後に金利をコンスタントに引き上げる可能性は低いと見られている。そのため政策修正をきっかけに円安トレンドが終焉するとはみていないが、結果が出る19日までは戻りの鈍い動きとなりそうだ。引き続き日銀絡みの報道には警戒する必要があるだろう。
なお来週は米国から、12日の2月消費者物価指数(CPI)を皮切りに14日には2月卸売物価指数(PPI)や2月小売売上高、15日には3月ミシガン大学消費者態度指数・速報値と重要指標が多く発表される。ただ、今週は2月ISM非製造業景況指数の発表やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が行われたものの、米金利見通しとしては3月・5月の金利据え置きという大方の予想に変化は見られておらず、市場の焦点が日銀に向かっていることが窺われる。
ユーロドルは、方向感を見出しづらい。欧州中央銀行(ECB)が金融政策発表でインフレ見通しを下方修正したことから「利下げに向けた準備に入ったのでは」との見方が広がった。しかしながら、ラガルドECB総裁は定例記者会見で「今回、利下げについて議論しなかった」「インフレに関する確信は十分ではない」と利下げについて慎重な姿勢を示した。短期金利市場では、依然として最初の利下げは6月と予想している。
3月4日週の回顧
ドル円は150円台前半から半ばでのもみ合いが続いていたが、2月米ISM非製造業景況指数など弱い米経済指標が相次いだことを受けて次第に売りに押される展開に。日銀の早期マイナス金利解除への思惑が高まると下値を探る動きとなり、週後半には一時147.59円まで売り込まれ、2月2日以来の安値を付けている。
ユーロドルは1.08ドル台半ばでの推移が続いた後は低調な米経済指標に伴う米長期金利の低下につれて買いが強まった。ラガルドECB総裁の発言を受けて1.09ドル半ばまで上昇した。(了)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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