
東証プライムの売買代金は概算で3兆6300億円。業種別ではその他製品、保険、海運などが上昇した一方、陸運、空運、銀行などが下落した。国内金利上昇に対する懸念が大きく後退したことから、レーザーテックやアドバンテストなど半導体株が大幅上昇。東京エレクトロンは上場来高値を更新した。反面、金利上昇が期待しづらくなったことから、三菱UFJやみずほFGなど銀行株は後場に入って売りに押された。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1211/値下がり401。半導体株以外ではファーストリテイリングや川崎汽船が大幅上昇。金利上昇への警戒が和らいだことで、三井不動産や住友不動産など不動産株に資金が向かった。自己株取得を発表したANYCOLORが6.7%高。上方修正や株主優待の新設を発表したリニューアブル・ジャパンが急騰した。上場2日目の雨風太陽がストップ高まで買われており、S&Jやアスマークなど直近上場株に見直し買いが入った。
一方、日本製鉄は米USスチールの買収発表が好感されず大幅安。JAL、ANA、JR東海など運輸系の銘柄が全般軟調となった。日銀会合の結果発表後に円安が進んだことから、「円高メリット」銘柄とみられているセリアが象徴的に売られた。新株予約権の発行が嫌気されたKudanが急落した。
本日、グロース市場に新規上場したエスネットワークスは、買いが殺到して初値は持ち越しとなった。
日経平均は大幅高。注目の日銀会合は日本株の買い材料となった。個別の動きを精査すると、結果発表直後に買いを集めた自動車株は伸び悩んでおり、大幅高で終えられたのは東京エレクロトン、アドバンテスト、ファーストリテイリングなど大型グロース株の貢献が大きかった。その点では、あす以降も全方位的に上昇するというよりは、グロース株、特に半導体株に期待する側面が大きくなると思われる。今回、日銀が円高を食い止めた格好になったことはポジティブ。足元の日本株は円高に対して神経質な動きを見せている。結果を確認して円高が進行した場合、年末にかけては日本株が集中的に売られるリスクがあった。しかし、ドル円は143円台に乗せており、140円割れに対する警戒は大きく後退した。ここから年末までの日本株は、独歩安懸念が払しょくされることで弱材料に耐性を示し、下げづらく上げやすい地合いが醸成されると予想する。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ