海外市場ではドル円は、ADP全米雇用報告の発表後に147.02円付近まで弱含んだものの、節目の147.00円手前で下値の堅さを確認すると、147円台前半の狭いレンジ内ながら底堅く推移した。ユーロドルは、一時1.0804ドルまで上昇する場面も見られたが、1.08ドル台の滞空時間は短く、次第に上値が重くなった。欧州の金利先安観が依然として上値を抑制しており、1.0759ドルまで弱含んだ。
本日のドル円相場も147円前半を中心に小幅な値動きに終始しそうだ。今週に入りドル円のレンジは狭くなってきているが、東京時間に限れば更に動意が薄い。東京時間(9時から17時の間で、日本銀行金融市場局による)レンジは、4日こそは146.24円から147.00円だったが、5日は146.75円から147.35円、6日は146.94円から147.39円となっている。昨日は欧州通貨に対してドル買いが進んだこともあり、多少ドル円も上値を広げる可能性はあるが、よほどのサプライズとなるニュースが出ない限りはレンジ相場になるだろう。
しかも、相場を読み解くのが難しいのは、連日米金利の動向にドルが連れて動かないことだ。昨日は米10年債利回りが9月1日以来となる4.10%台まで低下したのにもかかわらず、ドルは堅調な動きを見せた。年末相場に入っていること、来週に主要中央銀行(日・米・欧州・英・スイス)の政策決定会合が開かれることなどが、米金利とドルの相関性をなくしている。今週に入り通常は反応が敏感になる米雇用指標(10月JOLTS求人件数、ADP全米雇用報告)への反応も一時的に収まっていることも、12月相場の難しさを表している。
本日のアジア時間では本邦から複数の経済指標(対外対内証券売買契約等の状況、10月景気動向指数速報値ほか)が発表されるが、どの指標も市場を動意づけるのは難しいか。海外からは豪州と中国から貿易収支が発表される。中国の貿易収支は、輸出は前年比で-1%程度の予想と、予想外に減少幅を拡大した10月から持ち直すも7カ月連続のマイナスが見込まれている。一方で、同輸入は8カ月ぶりに増加に転じた10月と同水準の+3%程度の予想。5日に格付け会社ムーディーズが中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したこともあり、貿易収支がさえない結果となった場合のネガティブサプライズには要警戒となりそうだ。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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