20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.9927%前後まで上昇したことで149.99円と日本時間夕刻に付けた日通し高値に並んだものの、本邦通貨当局による為替介入への警戒感から、心理的節目である150円の手前で伸び悩んだ。ユーロドルは、米10年債利回りの上昇を受けて1.0565ドルとアジア時間に付けた日通し安値に面合わせした後、1.0604ドルまで反発した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、早朝に中東情勢の緊迫化を受けた有事のドル買いや日米金利差を意識し150円近辺での取引が続き、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
日本経済新聞の22日付朝刊が、日銀内でイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の再修正論が浮上していると報じており、日銀筋からの見解に注目しておきたい。
神田財務官は、先週、「為替はファンダメンタルに沿って安定推移が好ましいが、過度の変動があれば経済に悪影響があるため、適切な行動を取るというのは国際的に認められている」と述べた。
昨年10月は、12-13日のG20財務相・中央銀行総裁会議の後、21日のニューヨーク市場(東京時間23時30分過ぎ)と24日のシドニー市場(東京時間8時30分過ぎ)にドル売り・円買い介入が実施された。今年も12-13日のG20会議の後に口先介入(鈴木財務相「為替は場合によって適切な対応が求められる」や神田財務官「為替介入で過度の変動に対抗する」)が行われていることで、要警戒となる。
2022年10月20日のドル円は150.29円まで上昇していた。そして、21日(金曜日)には、151.95円まで上昇した局面で円買い介入が実施され、24日(月曜日)にも、追撃の円買い介入が実施された。当時、神田財務官は「投機筋によって為替が大きく変動し、国民生活、世界経済に悪影響を及ぼすのは容認できない」と述べていた。
バイデン米大統領は、ウクライナへの支援に加えて、イスラエルへの支援を表明しており、米議会に対して、イスラエル関連140億ドル、ウクライナ関連610億ドルの支援を含めた1000億ドルの追加予算を米議会に要求している。しかし、3日にマッカーシー米下院議長が解任されて以降、3回にわたる下院議長投票でも次期議長が選出されない状況が続いており、予算案の採決などの議会運営が難航している。
イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザで地上攻撃に踏み切った場合、ハマスを支援するイランは参戦すると警告していることで、戦火は一気に拡大して第5次中東戦争が勃発するリスクが高まるため、本日も中東情勢関連のヘッドラインには警戒しておきたい。
米国は、ロシアに侵攻されているウクライナ支援、中国からの侵攻が警戒されている台湾支援、そして、第5次中東戦争への警戒感が高まっているイスラエルの支援という三面作戦を余儀なくされる。そして、プーチン露大統領と習中国国家主席は、ウクライナ戦争と中東での戦争で米国が疲弊するのを待つという対米戦略での結束の強化を再確認しており、世界の分断化が深まる様相を呈しつつある。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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