26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが一時4.56%台まで上昇したことで149.10円付近まで上昇し、アジア時間に付けた年初来高値149.19円に迫った。ユーロドルは、米長期金利が低下した場面では1.06ドルを回復も、その後は米金利高を背景に1.0562ドルまで反落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米の金融政策の方向性の違いから強含み推移が予想される。しかしながら引き続き、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
本邦通貨当局の昨年秋の3回のドル売り・円買い介入は、ボラティリティーの抑制を名目に実施され、水準はボリンジャー・バンドの+2σ付近だった。最近のドル円の高値と+2σは以下の通り。+2σの手前でドル円は伸び悩んでおり、介入水準として警戒されているのが分かる。本日の+2σは149.39円付近に位置している。
・9月26日:高値149.19円・・・+2σ 149.22円
・9月25日:高値148.96円・・・+2σ 149.02円
・9月22日:高値148.42円・・・+2σ 148.77円
・9月21日:高値148.46円・・・+2σ 148.59円
ドル円が上昇基調にあるのは以下の要因。年末までの2回の米連邦公開市場委員会(FOMC)であと1回の利上げが示唆されていること、そしてFF金利誘導目標が5.50-5.75%まで引き上げられた後は、「より高い水準でより長く(higher for longer)」続く可能性があること。
米連邦準備理事会(FRB)のシナリオに変化をもたらす可能性がある材料としては、政府機関閉鎖のリスク、大手自動車メーカーでのストライキ、学生ローンの返済再開などが挙げられる。
先日は、米国に最高格付けを付与している唯一の格付け会社ムーディーズが、米政府機関が閉鎖されれば同国の信用格付けにネガティブに反映されるだろう、と警告。しばらくは議会での暫定予算案の採決の行方には注視する必要があるだろう。
一方で日本銀行は、現在の大規模な金融緩和策の継続が示唆されていることで、円安基調が続くことが見込まれている。本日発表される7月27-28日の日銀金融政策決定会合の議事要旨では、YCCの運用柔軟化の意図を見極めることになる。
7月の日銀金融政策決定会合では、金融政策である短期金利の運用(▲0.10%)と金融政策ではない長期金利の運用「イールドカーブコントロール(YCC)」の許容変動上限+0.5%は「目途」として維持された。しかし、指値オペの水準を0.50%から1.0%へ引き上げることで、柔軟化が図られた。
日銀の7月声明文では、YCCに関して「長期金利の上限を厳格に抑えることで、債券市場の機能やその他の金融市場における『ボラティリティー』に影響が生じる恐れがある」と言及された。植田日銀総裁は当時、「金融市場のボラティリティーを抑える中に、今回は為替市場のボラティリティーも含めた」と明言している。また、内田副総裁も、柔軟化措置において「為替市場を含めた金融市場のボラティリティーは重要な要素だった」と 述べていた 。
しかしながら日銀総裁と副総裁は26日、YCCの運用柔軟化は金融緩和の持続性を高めるため、と述べている。
10時30分に発表される8月豪消費者物価指数(CPI)は、前年比+5.2%と予想されており、7月の同比+4.9%からの上昇が見込まれている。予想通りならば、10月3日の豪準備銀行(RBA)理事会での利上げ観測が高まることになる。
リスクシナリオは、予想を下回り、インフレ率の鈍化傾向が確認された場合。4会合連続で金利が据え置かれる可能性が高まり、RBAの引き締めサイクルが終了したとの観測が高まることで、豪ドル売りに拍車がかかることになる。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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