12日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが上昇に転じたタイミングで147.23円まで上昇した。ユーロドルは独経済の減速懸念から1.0706ドルまで下落後、「ECBは2024年のユーロ圏インフレ率を3%超に高止まりすると見込む」との報道を受けて1.0765ドル付近まで反発した。ユーロ円は158.29円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米8月の消費者物価指数(CPI)への警戒感から底堅い展開が予想される。
ドル円は、9日の植田日銀総裁の新聞インタビューでの発言「マイナス金利の解除後も物価目標の達成が可能と判断すれば、解除をやる。『年末』までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」を受けて、147円台から145.91円まで下押ししたものの、米8月のCPIへの警戒感から147円台を回復している。
米8月のCPIは、前月比+0.6%、前年比+3.6%と予想されており、7月の前月比+0.2%、前年比+3.2%からの伸び率上昇が見込まれている。予想通りならば、6月の前年比+3.0%で底を打ち、原油価格の上昇などを背景に再び上昇基調を辿る可能性が高まることになる。
すなわち、来週19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性が高まり、ドット・プロット(金利予測分布図)では、高金利の長期化(higher for longer)が示される公算が高まることになる。
しかしながら、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、来週のFOMCでは金利据え置きを示唆している。また、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は、10日付の記事で、「米連邦準備理事会(FRB)は利上げに慎重になりつつある」との見解を示している。
ドル円の147円台では、先週から鈴木財務相、神田財務官、そして、植田日銀総裁も、ボラティリティーを抑制するための円安牽制発言を行ってきたことになる。
先週6日のドル円の高値は147.82円までだったが、神田財務官が、急激な為替変動が続いた場合は「あらゆる選択肢」を排除せず、適切に対応するとの見解を示していた。
8日の高値は147.87円までだったが、鈴木財務相が「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視。過度な変動にはあらゆる選択肢を排除せず対応する」と円安を牽制する発言をしたことで、一時146.59円まで下押しした。
そして、9日の植田日銀総裁の発言では、145.91円まで下押ししたものの、現状は147円台を回復している。
今夜の米CPIを受けて、ドル円が148円台に乗せてきた場合、本邦通貨当局による円安対応が口先介入からドル売り・円買い介入の実施に移る可能性に警戒しておくべきなのかもしれない。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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