総括
FX「米中緊張も経済回復で底堅い人民元。4位」人民元見通し
(通貨4位、株価14位)
予想レンジ 人民元/円19.2-19.7
(ポイント)
*人民元は底堅く推移している 12通貨中4位
*対米、対独の2022年の貿易額は過去最高
*気球をめぐる米中緊張は続く
*物価は低位で安定しているので、景気刺激策は取ることが出来る
*IMFが23年成長見通し上方修正
*政府版PMIは大幅改善
*習主席が中国式現代化論を総括した
*対豪関係は改善
*マッカ―シー下院議長は台湾訪問か
*ラガルドECB総裁は中国の景気回復でのインフレを懸念
*人民元はバスケット制度を採用しているので大きな動きは抑制される
*対露貿易は拡大
(人民元堅調)
IMFが中国の2022年の成長見通しを4.4%から5.2%へ引き上げたことや、1月の製造業・サービス業PMIが改善し、ゼロコロナ規制解除の効果が出たと見られ人民元は底堅い展開となっている。12通貨中4位で、対円では年初来3.17%高。
(対米、対独の2022年の貿易額は過去最高)
2022年の米中貿易額は4年ぶり最高となった。輸出入の合計額は6905億ドルで、最も多かった18年を上回った。米国は玩具などの日用品、中国は大豆などの食品関連で輸入が増えており、相互依存はなお高い。
また2022年の独中の貿易額は2021年比で21%増の2980億ユーロになり、中国は7年連続で独の最重要貿易パートナーになった。独は中国から電子電気製品、紡績品・衣料品、機械、化学製品などの計1910億ユーロの物品を輸入し、2021年より約3割増加した。また、中国への輸出物品は3.1%増の1070億ユーロになった。
(米中緊張)
経済的結びつきが深まる中で、米中間の緊張は高まるばかりだ。米国は、今月飛来した中国の「偵察気球」は、世界中に展開する「部隊」の一部だとの見解を示した。
ブリンケン国務長官は、ストルテンベルグ事務総長と共同会見し、中国の「偵察気球」が、世界中に展開している可能性を指摘した。「米国だけではなく、五大陸にまたがる国々の主権を侵害している」と述べ、回収された残骸から得たデータをホワイトハウスと米大使館を通じて数十か国と共有していると説明した。ストルテンベルグ氏も、気球飛来はNATO諸国が自衛する必要性を示していると述べた。ワシントン・ポストは米政府高官の話として、中国の「偵察気球」の一部は同国南部の海南島から出撃し、日本やインド、台湾などの近隣の敵対勢力の軍事施設を偵察していると報じた。
通常なら気球を撃墜されたなら中国は面子外交で激しく米国を非難し、対抗策を打ち出すが、今の所は行動はとっていない。米国の言い分が正しいからだろうか。
(物価は低位で安定。1月消費者物価)
1月の消費者物価は前年同月比2.1%上昇と、予想と一致。昨年12月(1.8%上昇)からは伸びが拡大した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは1%上昇へと加速、昨年6月以来の高い伸びとなった。
一方、生産者物価は前年同月比0.8%低下。予想は0.5%低下、12月は0.7%低下だった。
中国のインフレは2%前後で安定している。現段階ではインフレの伸び拡大が政策当局にとって問題になるとは思われない。内需の押し上げに向け、積極的な金融・財政政策が続くと予想されている。
テクニカル分析(人民元/円)
再びボリバン2σ上限へ上昇
日足、2月6日にボリバン2σ上限まで上伸し反落も中位で切り返し再び2σ上限へ。雲中。1月6日-2月15日の下降ラインが上値抵抗。2月14日-15日の上昇ラインがサポート。5日線上向き、20日線下向き。
週足、雲中での推移続く。1月16日週-2月6日週の上昇ラインがサポート。1月9日週-2月6日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、1月は陽線。2月も陽線でスタート。11月-12月の下降ラインを上抜く。10月-11月の下降ラインも江上抜くか。21年9月-23年1月の上昇ラインがサポート。
年足、3年連続陽線。23年も陽線スタート。ただ22年は上ヒゲが長い。20年-21年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
香港中銀が通貨防衛の介入
香港金融管理局(HKMA)は2月14日、42.23億香港ドル規模の香港ドル買い介入を実施した。香港ドルがペッグ制の下限を割り込むのを防ぐ目的があった。
ペッグ制で香港ドルは1ドル=7.75-7.85香港ドルの範囲に抑えられている。
FRB昨年3月に利上げを開始して以来、HKMAは41回にわたり通貨防衛の介入を実施し、2022年に309億米ドル相当の香港ドルを購入した。
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