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【有名ファンドマネージャーの教え】金融・経済の分析、レベルアップのカギは「数字のサイズの記憶」【元大手邦銀ディーラーが教える FX実力アップ教室 】 戸田裕大

戸田です。

本シリーズでは「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、新人トレーダー(個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策を通じて、読者のみなさまの実力UPに役立つ内容をご報告します。

第24回目は「【有名ファンドマネージャーの教え】金融・経済は数字のサイズを記憶することでレベルアップできる!」です。

本コラムではたびたびファンダメンタルズを学ぶ大切さについて言及してきました。ですがテクニカル分析のように短期間で習得することは難しいのもまた事実です。

そこで本日はファンダメンタルズを理解する上でとても役立つ考え方をご紹介します。この考え方は私が某有名ファンドマネージャーから教えて頂いたものです。名前は出せませんが、外国為替や日本株においてこの方を知らない人はいない、そんな方からの貴重なアドバイスです。

さっそく見ていきましょう。

目次

1. 金融・経済を把握するには数字のサイズを記憶することが効果的
2. 2. 実はテクニカル分析にも数字の理解が欠かせない
3. 終わりに

1.金融・経済を把握するには数字のサイズを記憶することが効果的

何も難しいことはありません。「世の中の数字を一つずつ記憶していこう!」「そしてそれを比較できるようにしよう!」ということです。

例えば5,000億円の経済対策!と言ったときに、みなさんはこの数字そのものが大きいか、小さいか、相場への影響が大きそうか、小さそうか判断がつきますか?多くの方は、5,000億円という数字は大きいけれども、それが日本にとって大きいのかどうか、金融マーケットにとって影響が大きいのかどうか、判断を下すのが難しいのではないかと思います。

ですが日本の1年間の政府予算が約100兆円、GDPが約500兆円という情報を持っているとどうでしょうか?5,000億円は市民の感覚としては大きいけれども、日本全体の予算や経済規模と比較するとあまり大きくなく、マーケットへの影響は軽微でありそうなことが見て取れます。

また最近、話題になっている防衛費の倍増計画についても、これらの数字を覚えているだけで簡単に理解することができます。もともと日本の防衛費5兆円は予算の5%でGDPの1%程度です。岸田総理はこれをGDPの2%程度に引き上げたい意向を示しいています。GDPが500兆円ですから、その2%は10兆円程度ということであり、それは予算の10%を占めるということが分かります。するとその財源はどうするの?どこから取ってくるの?ということがスムーズに分かるようになります。

金利上昇に伴う政府の利払い増加の問題の大きさについても簡単です。政府の国債発行残高は約1,000兆円です。金利が1%上昇すると、10兆円の支払い増となります。予算が100兆円ですから10兆円の支払い増は大きいですよね。さらに万が一、金利が10%上昇すると、100兆円の支払い増となり、日本政府は使えるお金が全くなくなってしまいます。

と、このように「事の重大さ」を理解するためには数字のサイズを一つずつ把握していくことが重要ということがお分かり頂けたかと思います。

2.実はテクニカル分析にも数字の理解が欠かせない

さてFX初心者のころは何かとテクニカルに頼ることも多いと思います。何を見てよいか分からない段階において、1つの判断基準を得られるのはありがたいことです。

そのテクニカル分析について、ぜひ心掛けて頂きたいのが数字としてそのテクニカルを理解するということです。

例えば移動平均が分かりやすいですが、20日の移動平均は概ね1ヵ月における平均の値を示します。そして実勢レートが移動平均よりも高ければ平均より上にいる、低ければ平均より下にいることが分かります。

一方でトレンドラインとよばれる斜めのラインを数字で計測することはできません。あくまで主観的な線引きです。したがってその正当性をそもそも検証することはできません。

それからボリンジャーバンドは移動平均と標準偏差で表現されています。したがって、それそのものは数字として計測、検証が可能です。ですがそもそも標準偏差は正規分布に基づいて計算されているので、「あれっ、何か違和感があるな」と感じることができます。

正規分布
正規分布のイメージ図:戸田氏の指示をもとに外為どっとコム総研作成

正規分布とは上図のように左右に等しい山型なわけですけれども、これは実際の相場の動きとは異なっています。例えばドル/円相場はこの40日間ほどで約20円も下落しているわけで、上昇よりも、その下落スピードの方が速いです。したがって相場は左右に等しい山ではないのですね。そのドル円市場に左右に等しい山を当てはめることは適切なのか?ということを考えることも出来ます。

つまり自分がそのテクニカルの計算式を理解することで、何に使うとはまりそうなテクニカルで、何に使うとはまらなそうなテクニカルかを、感覚として理解することが出来ます

3.終わりに

金融マーケット、外国為替マーケットと対峙する上で、数字の理解は自分の身を守る重要な手段です。なぜならば通貨そのものの値動きから、経済指標、テクニカルや統計的な分析手法など、すべてが数字で出来ている世界だからです

ですが複雑な金融工学を覚える必要があると言っているのではありません。数字のサイズを把握して比較する、使うテクニカルの意味(計算式)を理解するというだけです。

一つ一つの事象に対する理解を深めていくことがファンダメンタルズの向上につながります。数字に苦手意識を持たず、数字をまずは記憶するところからはじめて、次に数字を比較して理解を深めていきましょう

「ローマは一日にして成らず、実力UPも一日にして成らず」です。日々の心掛けが1年後のパフォーマンスを大きく改善させます。引き続き一緒に学んでいきましょう!

それでは本日はここまでとなります。
最後までご覧いただきありがとうございました。


戸田裕大


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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、 日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は法人向けにトレジャリー業務(為替・金利・資金)に関するサービスを提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022 年)。
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