FX/為替予想「地政学リスクが高まったときに気をつけるべき3つのこと」 元大手邦銀ディーラーが教える FX実力アップ教室  戸田裕大

FX実力アップ教室 戸田裕大

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、過去に為替トレーダーとして様々な失敗を経験してきた私が、どのように工夫して少しずつ上達していったのか体験談をお伝えしていきます。新人トレーダー(新人の個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策などを通じて、読者のみなさまの実力UPの参考にして頂ければ幸いです。

第16回目は「【FX】地政学リスクが高まったときに気をつけるべき3つのこと」です。

結論として意識すべきことは以下の3つです。
1. 通貨の価値が大きく変わることもあるので、無理せず損切りすること
2. 上下に大きく動くので、取引金額を小さくし、損切りを遠めに置くこと
3. 普段よりもヘッドラインに振らされやすくなるので、欲張らず利確すること

早速みていきましょう。

目次

1. 通貨の価値が大きく変わることもあるので、無理せず損切りすること
2. 上下に大きく動くので、取引金額を小さくし、損切りを遠めに置くこと
3. 普段よりもヘッドラインに振らされやすくなるので、欲張らず利確すること

1.通貨の価値が大きく変わることもあるので、無理せず損切りすること

FX、すなわち外国為替相場は普段はそんなに大きく動かないこともあります。特に先進国同士の通貨ペア、例えばUSD/JPYやEUR/USDにおいては上がったら下がる、下がったら上がると言った上下運動を繰り返すことも経験則として少なくないです。

しかし地政学リスクが高まると通貨の価値が大きく見直されることがあります。あしもとの状況ではロシアの通貨ルーブルが大きく下落していますが、これはまさに地政学リスクが表面化した動きです。

<RUB/JPYの日足チャート>
RUB/JPY 日足チャート

なぜこんなに動くのかというと、端的に言ってしまえば、ロシア経済が大きく落ち込み、ルーブル紙幣が紙切れになってしまうリスクを少しずつ織り込み始めているからに他なりません。紙幣が紙切れになるということは普段はイメージがつかないかもしれませんが、過去の文献を遡ると第一次世界大戦で敗れたドイツの紙幣や、第二次世界大戦で敗れた日本の紙幣も紙切れ同然になっています。

戦争で敗れた国に等しく訪れるのが「ハイパー・インフレーション」と言う現象です。これは戦争の賠償金や復興に必要なお金を増刷していく過程で市中に紙幣が溢れかえり、結果として紙幣の価値が下落し、モノの価値が激しく上昇していくことで、そう言った現象をマーケットが織り込みにいっています。

ですから何を伝えたいかと言うと、有事と言うのは時として、本当に一つの国の通貨を紙切れにしてしまう可能性があるということです。ゆえに通常では考えられないような損失に繋がることもあります。

ですからもうダメだと思ったら、苦しいですが損切りして逃げることも重要になります。これはぜひ覚えておいてください。

2.上下に大きく動くので、取引金額を小さくし、損切りを遠めに置くこと

地政学リスクが高まると、多くの通貨ペアで相場の変動率が大きくなります。これは投機的な売買や投げ売りが飛び交うことで、結果として激しい値動きが形成されるからです。

このように相場の変動率が大きい局面で、普段の感覚でストップロスオーダーを置くと、簡単に執行されてしまいがちです。こういった場合の1つの対応策としては金額を抑えて、その分ストップオーダーを離れたところに置くことが考えられます。

つまりこういった局面でトレードの金額を増やし過ぎるとすぐに損切りをさせられることになりますのでお気をつけください。金額を抑えても変動が大きいので、普段と同じくらいの損益のブレが発生するので、そんなに大きく金額を張る必要はないのです。

3.普段よりもヘッドラインに振らされやすくなるので、欲張らず利確すること

それから地政学リスクが高まっているときは、普段よりもヘッドラインが持つ意味が大きくなり、結果としてヘッドラインに大きく振らされる相場になりやすいです。例えば現在のウクライナ情勢では「停戦合意の交渉が行われる」や、欧州各国が「SWIFTからロシアを締め出した」といったゲームチェンジャ―となりうるヘッドラインが流れると、それで相場は大きく動く事になります。

反対に経済指標や金融政策に対する関心が一時的に薄れることになります。これはウクライナ情勢を巡るヘッドラインが、経済指標や金融政策よりもあしもとでより重要なことだからです。ロシアがもし核ミサイルを発射したら、はっきり言って経済指標や金融政策どころの話ではなくなってしまう、こういったことが意識されています。

1つの対応策として、あまり欲張らずに、利益が乗ったらさっさと利食いを入れてしまうこともこういう相場では重要です。それから、ウクライナ情勢に関してはどうしても欧州の方が報道は充実していると思いますので、日本にいる我々はあまり無理をしないということも一つの対応策になるのではないでしょうか。


それでは本日はここまでとなります。
引き続き一緒に学んでいきましょう。


戸田裕大

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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、 日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は法人向けにトレジャリー業務(為替・金利・資金)に関するサービスを提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022 年)。
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