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FX「文系で体育会系の僕がデータ分析にチャレンジしたらFX攻略の糸口が見つかった話」元大手邦銀ディーラーが教える FX実力アップ教室  戸田裕大

FX実力アップ教室 戸田裕大

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、過去に為替トレーダーとして様々な失敗を経験してきた私が、どのように工夫して少しずつ上達していったのか体験談をお伝えしていきます。新人ディーラー(新人の個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策などを通じて、読者のみなさまの実力UPの参考にして頂ければ幸いです。

第15回目は「文系で体育会系の僕がデータ分析にチャレンジしたらFX攻略の糸口が見つかった話」です。早速みていきましょう。

目次

1.仕事ができなかった僕がシステムトレード部署に異動させられた話
2.データから傾向が見えてきた
3.その後にチャレンジした結果いろいろな事象が見えてきた話
4.僕がデータ分析に抵抗がある人に本当に伝えたいこと

1.仕事ができなかった僕がシステムトレード部署に異動させられた話

文系で体育会系の僕がメガバンクのトレーディング部門に移って丸一年が経過したある日のこと、システムトレード班への掛かり替えを命じられました。

今でこそシステムトレード班は最先端を走るかっこよいグループだそうですが、私が属していたころは若手の修行場所、もっと適切に表現するとまだ戦力にならない小僧を置いておく場所でした。おそらく私のトレーディング部門での最初の1年は「落第」だったのでしょう。

ですが今にして思うとこれが転機になりました。

それまではわりと雰囲気でものごとを考えたり、意思決定を下したりすることが多かったのですが、新しいチームの上司はそれを許してくれず、「事実はどうなんだ?データはどうなんだ?」としつこいくらいに聞いてくれました。

当時はエクセルもろくに使いこなせなかったので発狂しそうになりましたが、まだ若く体力だけはありましたし、それになぜか一部には分析好きの(一風変わった)優秀なやさしい先輩もいましたので、色々と手取り足取り教えてもらい少しずつデータ分析を勉強していきました。

トレードにしても、プライシング(レート提示)にしても、すべてを雰囲気ではなく、データ(事実)に基づいて行う。そもそもいままでに一度もチャレンジしたことのない考え方でしたし、なんとなくスキルアップしている感じもあって、少しずつですがキャッチアップしていくことができたのではないかと思います。

2.データから傾向が見えてきた

1年くらいするとエクセルだけでなく、簡単なマクロ、アクセスやSASとよばれるデータ解析ソフトを少しずつ触る機会が増えてきました。「あいつは文系で体育会系なのに意外と歯を食いしばって頑張っている」と言われて単純なので気を良くしてみたり、また少しずつ分析ができるようになってきて、ようやく仕事が楽しくなってきたころだったと思います。

そんな時に当時の凄腕ディーラーの上司から仕事の依頼を受けます。「戸田君、米利上げがドル円に与える影響を調べてくれ」と。

米政策金利のデータとドル円のデータを並べて、それをグラフに表示する、1年前にはできなかったことですが、そのころにはできるようになっていたので、作ってみたところ驚きの結果が出てきました。そう実はあんまり連動していなかったのです

2004年6月~2006年7月の米利上げ局面におけるドル/円推移

2015年11月~2019年1月の米利上げ局面におけるドル/円推移

凄腕ディーラーの上司は「いや、そんなことはないはずだ、何かがおかしい」こういう風に伝えてくれました。ですがデータを取るとそうなっているので間違っているはずもないんです。

少し時間が経ったあと上司にもう一度よばれて、「おそらく背景にある考え方を理解した」とのことでした。ようは期待で買われて事実で売られていたのではないかということと、米金利だけが相場に影響を与えているわけではないと、そう解釈している様子でした。

正直に当時の僕は米利上げがどこまで相場に影響をあたえるのかよく分かっていなかったので、上司の話をきいても分かったような、分かっていないようなその程度の理解でした。ですが一つだけ得られたことがあって、もしかするとその上司は「米金利が上昇するとドル円が上昇するという仮説」を持っていてそれを確認したかったのかな、ということに気づけたことです。

ようは仮説があるとデータ分析がしやすいのだなと、こういうこともその時に気づかせてもらいました。

3.その後にチャレンジした結果いろいろな事象が見えてきた話

仮説があると検証しやすいのかもしれない。こう考えて、いまある自分の仮説をもとに以下の分析をすすめてみました。

● 東京の仲値注文(9:55分ごろの取引注文)は金額が大きいからきっと何かしら相場に大きな影響を与えているはずだ
● 日経平均株価が上昇するとドル円も上昇しやすいのではないか?
● 米雇用統計などの重要イベントの際にカバーコスト(スプレッド)が広がるけれども、うちだけ狭く提示したら取引量が急増して、結果勝てるのではないか?(会社側目線の分析)

こういったことを検証してみました。

それらから、役に立ちそうな傾向をつかめたものもあれば、そうでないものもありました。ですが自分が普段から感じている疑問を検証してみる、これが分析の基礎ではないか?このように考えることで、自然と分析への抵抗感がなくなっていったように思います。

4.僕がデータ分析に抵抗がある人に本当に伝えたいこと

データ分析というとその言葉だけでハードルが高いように感じると思います。ですが最初はエクセルで大丈夫ですし、なんなら紙と鉛筆でもOKです。手間はかかりますがデータの取得も画面をみながら一個一個を書き写すやり方から入ればよいと思っています。

おそらく私たちは肌感覚としてさまざまな事象を認識しています。FOMCのあとはなんとなくリスクオンになりやすいとか、月末はドル買いが強い日が多かった気がするとか、そういったことを経験として蓄積しています。

そう思ったことが本当に合っているのかどうか?これを検証するためにデータの分析を始める、このやり方が結果がでやすいと思っています。

もしかするとTwitterなどでとても高度な分析をされている方を目にするかも知れませんが、そういった方たちもきっと最初はそんなにうまくできなかったのではないかと思います。成功した表面だけを切り取ってしまうと自分とは違う天才たちのように見えてしまいますが、そこにはきっともがいて努力した過程があるはずです。

データの分析とは、言い換えると事実の分析ですから勝率はグンと上がることは間違いないと思います。感覚でディールをやってもなかなか結果がでない、と言う方は少しずつデータに基づいた分析を初めてみると良いかも知れません。

少し補足をすると実はデータ分析のスキルだけではなかなか勝てないとも思います。それはなぜかというと例えば当時の僕のように「仮説」をたてる力が足りないと分析の糸口を見つけるのが難しいからです

ようは相場のことを知らんと、途方もない分析の旅路にでてしまうということなんですね。

相場のことを知りつつ、実際の値動きを検証してみる。これが出来たらきっと強いです。

こういったことをみなさんにお伝えするのが好きで活動しているのですが、伝えるにもデータがあった方がよいなと思うことも増えていて、今年は色々なデータ分析にチャレンジしてみようと思っています。もし今年こそはやってやると思っている方は、これから一緒にがんばりましょう!

ちなみに僕ははじめのころ、手で画面を指差し確認してデータを書き移していたのですが、できる先輩からめちゃめちゃ笑われて恥ずかしかったです。でも、いまとなればよい思い出ですかね。

千里の道も一歩より

それでは本日はここまでとなります。
引き続き一緒に学んでいきましょう。

 

戸田裕大

<参考文献・ご留意事項>

各種為替データ
ドル円の月足データ:investing.com
米政策金利のデータ:Federal Reserve Bank of St. Louis

 

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【インタビュー記事】

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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大 (とだ・ゆうだい)氏
代表を務めるトレジャリー・パートナーズでは専門家の知見と、テクノロジーを活用して金融マーケットの見通しを提供。その相場観を頼る企業や投資家も多い。 三井住友銀行では10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022年)。
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