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FX「市場参加者のポジションとオーダーを確認し取引に役立てる」元大手邦銀ディーラーが教える FX実力アップ教室 戸田裕大

FX実力アップ教室 戸田裕大

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、過去に為替ディーラーとして様々な失敗を経験してきた私が、どのように工夫して少しずつ上達していったのか体験談をお伝えしていきます。新人ディーラー(新人の個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策などを通じて、読者のみなさまの実力UPの参考にして頂きたいと考えています。

第10回目は「市場参加者のポジションとオーダーを確認して取引に役立てる」です。早速みていきましょう。

目次

1.ポジション状況を確認する
2.オーダー状況を確認する

1.ポジション状況を確認する

みなさんは自分のポジションにばかり集中してしまう経験はございませんか?私はついつい自分のポジションと保有している通貨ペアの値動きにばかり注目してしまうことがあります。

FXにおいて、自分のポジションを確認することはもちろん大切ですが、自分だけが取引しているわけではありませんので、「相手の動き」を把握することも重要です。そこで本日は自分のポジションではなく、市場参加者のポジションを一緒に見ていきましょう。

ポジションを把握することで、各通貨ペアに対する市場参加者の「考え方」や「投資余力」などを測ることが出来ます。為替は特にゼロサムゲームの側面が強いので、相手(市場参加者)の考え方や、投資余力を知っておくとこちらの作戦も立てやすいです。

本日はすぐにでもお試し頂けるよう、外為どっとコムのホームページで確認出来るサービスを用いてご説明いたします。

一つ目がお客様のポジション状況です。
米ドル/円 ポジション比率情報

URL:https://www.gaitame.com/markets/tool/position_ratio/details.html?country=usdjpy

上図はドル円のポジション比率の直近3ヵ月を描画したグラフです。円安が進んだ2021年9月22日以降にドル円の売りポジション(青色の棒グラフ)が膨らんでいることが分かります。

これは典型的な日本の個人投資家の行動特性「逆張り」が表現されていると思います。レンジ相場では逆張りが機能すると思いますが、トレンド相場では傷むことが多いのが逆張りの特徴です。例えば自分がこのポジションと同じポジションであったら「自分は今、トレンドに対して逆張りしている可能性がある」と少し警戒しても良いかも知れません。

次にIMMの通貨先物ポジションをみていきましょう。

IMMとはInternational Monetary Marketの略で、通貨先物とは将来の一時点のレートで決済する契約のことです。

IMMポジション <円>
URL:https://www.gaitame.com/media/entry/2021/10/18/142800

上図は「円」のポジションになります。「ドル円」のポジションではないのでお気をつけください。

確認すると21年の3月ころから円はNETショートに転じていることが見てとれます。つまり海外の投資家は円売りのポジションを抱えており、それを徐々に積み増しているのです。ここから海外の投資家と日本の個人投資家がそれぞれ逆の投資行動を行っていることが見てとれます。

ここでポイントをまとめます。

日本の個人投資家は逆張り傾向が強く、海外投資家は順張り傾向が強いですそして一般的には順張りが無難であると言われています。

みなさんが勝っているのであれば順張りでも逆張りでも特に問題ないと考えます。ですがもしトレードが上手くいっていないのであれば、基本的には順張りが無難と思いますので、順張りを心掛ける(なるべく海外投資家と同様のポジションを取っていく)と良いと思います

それからもう一つの見方がIMMポジションの(円ショートの)量がそもそも大きいか小さいかを測ることです。10月12日時点で投機筋の円のポジションは7.7万枚の売り越し(ネットショート)です。これは過去4年間で、相対的に大きなポジションになっています。

過去四年間では最大で10万枚程度の売り越しまで到達していることを確認できましたが、円ショートが増えれば増えるほどに、さらなる円売りを仕掛ける余力は少なくなっていく可能性が高いです。つまり円ショートが過大になりすぎると、そこで投資余力がなくなり、ゆえに円安に歯止めが掛かってくる可能性もあります。

この点も併せて押さえておきましょう。


2.オーダー状況を確認する


つづいてオーダー状況を確認していきましょう。オーダーの典型的な使い方については過去記事でまとめていますのでそちらをご参考ください。


さて本日はオーダーそのものではなく、オーダー状況から何を読みとくかです。

実際に現在のオーダー状況を確認してみましょう。

外為注文情報(ドル/円)
URL:https://www.gaitame.com/markets/chart/pc/
※外為注文情報をクリックすると確認できます

執筆時点(2021年10月18日、15:40現在)のドル円の水準が114.25円です。下は114.00円、113.80円に大きめの買い注文が控えています。上は114.45円前後に売り注文が集中しています。

つまりドル円は、上は114.45円前後で利食い優勢になりやすく、下は114.00円や113.80円で買い支えられやすいことを示しています。

となると本日の為替相場が穏やかな推移になる場合の想定レンジは113.80円~114.45円になるわけです。

これらの水準(114.45円、114.00円、113.80円)をチャートで振り返ってみると分かりやすいのですが、過去にサポートやレジスタンスとして機能した水準であることが分かります。

ドル/円チャート(日足)

つまりチャートを見ることとオーダーを見ることはほとんど同義なのです。さらにオーダー状況を確認することで、そのレベルにおける抵抗力の強弱が分かるので使い方によってはチャートよりも有用な場合があります。


さて本日は、ポジションとオーダーの見方、使い方についてお伝えしてきました。これらの情報は短期売買を行う上で欠かせない情報になりますので、ぜひツールを活用し、役立ててみてください。きっと勝率が改善すると思います。

それでは本日はここまでとなります。
引き続き一緒に学んでいきましょう。


戸田裕大

<参考資料>
ドル円チャート:Investing.com

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株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、 日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は法人向けにトレジャリー業務(為替・金利・資金)に関するサービスを提供するかたわら、為替相場講演会に多数、登壇している。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022 年)。
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