総括
米中対立激化も、貿易と為替は仲がいい。本日GDP
(通貨4位 株価14位)
予想レンジ 人民元/円 16.7-17.2
(ポイント)
*米中対立激化も貿易と為替は密着で仲がいい
*預金準備率引き下げを引き下げたが、通貨バスケット制度なので下げ幅は小さい
*6月貿易統計は輸出入ともに増加
*本日はGDP、小売売上、鉱工業生産の発表
*米中対立は人権問題や情報テクノロジー部門で続く
*中国10年国債利回りは3%割れ
*外国人の中国国債保有、6月は過去最高更新
*6月の各種PMIがいずれも弱かった
*米中首脳「遠からず」会談
*中国による台湾の軍事的占領、近い将来起こる公算小=米軍トップ
*豪がワインの対中輸出でWTOを提訴
*対米関係は悪化しているが貿易量は増加
*豪は一帯一路の契約を一部撤回 米英も一帯一路に対抗
*中国の米国債保有残高は1.1兆ドル
*21年は8.4%の成長見通し
*経済問題でも政治問題でも外交で妥協しない
(預金準備率引き下げ)
対円での上昇が11か月で止まった6月であったが、7月早々に人民元は下落した。ただ通貨バスケット制度なので元の下げ幅は小さい、人民銀行は7月9日、預金準備率を0.5ポイント引き下げると発表した。引き下げ幅は予想より大きく、景気回復の足取りが鈍いことへの懸念の強まりを示唆した。コロナ禍で蓄積されていた需要がピークアウトしたとみている。6月の製造業、非製造業PMIがいずれも弱かったことも影響した。政府は、コスト高に苦しむ中小企業への融資を後押しするため、人民銀行が預金準備率引き下げなどを通じて市中銀行への流動性提供を強化する可能性を示唆していた。6月の消費者物価は前年比1.1%上昇と落ち着いている。中国10年国債利回りは低下し3%を割り込んでいる。預金準備率の引き下げは本日発表される2Q・GDPや6月鉱工業生産、小売売上が弱含みすることを示唆しているのではないかとも想定される。
(2Q・GDP予想は前年比8.1%に半減へ)
2Q・GDP予想は前年同期比8.1%増。1Qは18.3%増。製造業が原材料価格の上昇に直面し、消費支出が新型コロナウイルスの感染再燃で圧迫されたとみられている。
人民銀行の金融政策については、経済成長への圧迫が続くことと消費者物価の鈍化を受けて今年4Qにも預金準備率が0.5%幅で再び引き下げられるとの予想になった。消費者物価については、今年が1.5%上昇で昨年の2.5%から鈍化すると予想されている。来年の見通しは2.3%。
(6月貿易収支は改善)
*貿易統計 515.3億ドルの黒字 442億ドルの黒字予想 5月は455.3億ドル黒字
*輸出 32.2% 予想23.1増 前回27.9%
*輸入 36.7% 予想30%増 前回51.1%増(前年比)
(米が新疆ウイグル自治区の人権問題に言及)
米政府は7月13日、新疆ウイグル自治区での強制労働や人権侵害の深刻さを踏まえ、同自治区に関連する投資やサプライチェーンから撤退しない企業や個人は、国内法に違反する高いリスクを負う恐れがあると警告した。ハイテク部門について、中国の規制
強化で今後も圧力に見舞われると指摘。中国政府がインターネット企業に対し、社会的価値の創出を求めることも圧迫要因になるとの見方を示した。
(中国は米報告書は「紙くず」とした)
中国外務省の趙立堅副報道局長は、米政府が新疆ウイグル自治区での人権侵害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と報告書で認定したことについて「米国に他国の人権状況をあれこれ言う資格はない」と反発、報告書を「紙くずだ」と切り捨てた。
趙氏は「米国は100年前に南部オクラホマ州タルサで虐殺された黒人や、入植時代に殺された先住民の恨みを忘れるべきではない」として、米国の過去を批判した。
米報告書が指摘した新疆での投獄や拷問、強制不妊手術などについては「今世紀最大の大うそだ」と述べただけで、具体的な反証はしなかった。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン中位に届かず下落
日足、7月8日にボリバン3σ下限、雲の下に落ちるも、4連続陽線で雲の上限近くまで戻す。7月8日-9日の上昇ラインがサポート。7月2日-14の下降ラインが上値抵抗。5日線横ばい。
週足、ボリバン2σ上限に達して反落。4月26日週-7月5日週の上昇ラインがサポート。6月28日週-7月5日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、20年8月の対円15.11から始まった連続月足陽線は10か月で終り、11か月とならず。5月-6月の上昇ラインがサポートだが一旦下抜く。ボリバン2σ上限近辺。雲中。
年足、11年-20年の上昇ラインがサポート。18年-19年の下降ライン上抜く。 16年-18年の下降ラインも上抜く。
チーファンラマ
香港からの大量脱出
(昔からのディーラー仲間でも、香港や台湾から一時的にも移住する話はよく聞いていたが、さらに勢いを増しているようだ)
人口750万人の香港からはすでに多くが新天地へと飛び立った。新型コロナウイルスのパンデミックに関連した制限措置が解除されれば、後に続く人はさらに増えるだろう。 もちろん、香港は数百年にわたって人の往来が繰り返されてきた。1997年の中国返還前の10年間には、およそ50万人が香港を去り、多くはカナダへと向かった。天安門事件後の数年間がピークで、年率で人口の約1%が移住した。
今回はさらに劇的な様相を呈している。昨年はパンデミックのまっただ中にあったにもかかわらず、台湾だけで1万800人余りの香港市民が居住許可を取得した。この数は前年のほぼ2倍だ。今年1月末に英国が海外市民(BNO)旅券の受け付けを開始すると、2カ月間で3万4300件の申請があった。議会に提出された公的な見積もりによると、通年では約12万件と、1990年代前半に香港から移住した年間人数の2倍になることが予想されている。(ブルームバーグ)
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