総括
激烈米中対立。中国国債に海外資金流入で元を支える
(通貨4位 株価14位)
予想レンジ 人民元/円 16.9-17.4
(ポイント)
*中国10年国債利回りが低下
*外国人の中国国債保有、6月は過去最高更新
*今週はCPIの発表
*6月の各種PMIがいずれも弱かった
*大手テクノロジー企業に対する規制を強化
*米中首脳「遠からず」会談
*習近平総書記は、軍事や経済で米国をしのぎ西側諸国の価値観と距離を置く
*5月鉱工業生産や小売売上高は伸び悩む
*中国による台湾の軍事的占領、近い将来起こる公算小=米軍トップ
*豪がワインの対中輸出でWTOを提訴
*5月貿易統計では輸入が10年ぶりの大幅な伸び
*対米関係は悪化しているが貿易量は増加
*豪は一帯一路の契約を一部撤回 米英も一帯一路に対抗
*中国の米国債保有残高は1.1兆ドル
*21年は8.4%の成長見通し
*経済問題でも政治問題でも外交で妥協しない
(中国国債先物が大幅高)
中国国債先物が大幅高となった。人民銀行は今年下期に利下げする可能性があると元高官が発言した。10年物国債先物の中心限月9月限は0.38%高で終了。現物市場では指標10年債利回りが約3ベーシスポイント低下。人民銀の調査統計局長を務めた盛松成氏はベース効果が薄れることを理由に成長率が5-6%へ減速する可能性があると指摘。人民銀は下半期に「合理的かつ適切に」金利を引き下げるべきと主張した。
(外国人の中国国債保有、6月は過去最高更新)
外国人による中国国債保有高が6月に過去最高を更新した。魅力的な利回りが背景。ただ、増加ペースは人民元の上昇を抑制する当局の動きを受け、前月から鈍化した。
保有高は6月末時点で2兆1300億元(3296億9000万ドル)。
前月比で133億9000万元(0.6%)増と、3月以来の小幅な伸びにとどまった。外国人投資家の保有比率は全体の10.3%。
中国債券については、利回りプレミアムに加え世界市場との相関性が比較的低いことが、外国人投資家にとって引き続き魅力になっている。
(血を流すだろう)
共産党100周年の式典で習近平総書記は、軍事や経済で米国をしのぎ、西側諸国の価値観と距離を置こうとする統治姿勢が改めて浮き彫りとなった。米国、G7、NATOとの妥協はない。「中国人民は絶対に、いかなる外来勢力にも、我々をだまし、圧迫し、奴隷として働かせることを許さない。誰であれ、中国を刺激する妄想をするならば、14億人民が血と肉で築きあげた鉄鋼の長城に頭をぶつけ、血を流すだろう」と強烈なメッセージを世界へ送った。
(景気減速、株価弱い)
上海や香港の株式の下落が心配だ。PMIがいずれも弱かった。6月の製造業PMIは50.9で、前月の51.0から小幅に低下した。原材料コスト高や、輸出が盛んな広東省の港湾施設での混乱が影響した。6月非製造業PMIは53.5で5月の55.2から悪化した。財新製造業PMIは51.3で52.0から悪化したことが影響した。
(大手テクノロジー企業に対する規制を強化)
また中国の配車サービス最大手、滴滴出行(ディディ)の株価が大きく値を下げた。中国サイバースペース管理局が国家安全と公益を守るためにディディの調査を開始したと述べたことが材料視された。中国当局はここ数年、国内の大手テクノロジー企業に対する規制を強化してきた。企業に対して主要なデータを適切に収集・管理するように要求している。中国経済の減速は人民元相場に与えるより、中国経済に依存している新興国経済への影響が心配だ。
(米中首脳「遠からず」会談)
米国のキャンベル・インド太平洋調整官は7月6日、バイデン大統領と中国の習近平国家主席による初の対面での首脳会談について「遠くない時期」の実現を期待していると語り、調整を加速する考えを示した。10月のG20サミットでの開催を視野に入れているとみられる。
テクニカル分析(人民元/円)
雲に落ちず留まる
日足、ボリバン2σ内の往復運動。雲に落ちず留まる。7月1日に2σ上限、7日に下限となった。6月21日-7月7日の上昇ラインがサポート。7月6日-7日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足、ボリバン2σ上限に達して反落。4月26日週-6月21日週の上昇ラインがサポート。5月24日週-6月28日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、20年8月の対円15.11から始まった連続月足陽線は10か月で終り、11か月とならず。5月-6月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限近辺。雲中。
年足、11年-20年の上昇ラインがサポート。18年-19年の下降ライン上抜く。 16年-18年の下降ラインも上抜く。
チーファンラマ
中国が「法人税15%下限案」にハイテク除外要求か G20大筋合意の障害に
G7の一部当局者は法人税の最低税率を15%以上とするG7財務相案に中国は簡単に支持しないと予測している。 中国では大半の企業を対象とする基本的な法人税率が25%に設定されているが、ハイテクセクターや研究開発投資に関しては軽減措置が導入されており、実効税率は15%を下回ることもあり得る。中国政府は先進技術を中心に自国の経済発展の鍵と見る税制上の優遇措置を残したい考えだ。中国関係者は「中国のハイテク企業の一部への税率は15%を大きく下回っている。中国はこうしたセクターを別扱いする案を提示する可能性」があると指摘する。
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