総括
経済好調、人民元慎重
予想レンジ 人民元/円 15.6-16.1
(ポイント)
*先週は一時年初来最強通貨になった(現在3位)
*来週は製造業PMIの発表
*10月小売売上、鉱工業生産も好調
*積極的に国際会議のリーダーシップをとり始めている
*人民元は強いが急激な上昇は政府によって抑えられている
*今後は5%成長が目標か
*海外資本の中国債券市場への流入が続く
*2035年までにGDP倍増、5年内の高所得国入り目指す
*デジタル人民元、実証実験進む
*双循環がキーワード 国内循環と海外循環
*中国国債は90%の確率でWGBIに採用される見込み
*米中GDPの逆転も近いか
*2022年は米中国交回復50年
*2021年は共産党建党100年
*今年は「第13次5カ年計画」の最終年
*米国は中国の為替操作国の認定解除
*中国GDPが100兆元へ近づく
(一時、年初来最強通貨に)
先週末、11月終値ベースでは年初来、対円で1.6%高の15.85円で最高通貨となったが、今週はスイス、ユーロに抜かれ3位となっている。
経済指標も良く、膨大な貿易黒字、最近では3%の長期債利回りに海外投資家からの資金が流入していることから見れば、もう少し元高になってもいいと思うが、政府のコントロールで急激な人民元高にはブレーキをかけているようだ。
以下は人民元円の年足である。急激元高でなくゆるやかな元高。日本のプラザ合意後の3年で50%高の通貨高とは大いに異なる。
(来週は製造業PMI)
先週は10月鉱工業生産と小売売上がいずれも前年比での増加基調を維持したが
来週は11月の政府版と財新の製造業PMIの発表がある。ともに50を超え続けている。
(積極首脳外交)
先週はSCO(上海経済協力機構)、RCEP、APEC首脳会議、G20首脳会議などで「世界は不可分の運命共同体であり、防疫国際協力を全面的に深化し、世界経済の回復を促進するべきだ。中国は新たな発展構造を積極的に構築し、対外開放を堅持し、世界各国とともに互恵・ウィンウィンを実現し、世界のより素晴らしい未来をともに創造していく」と強調した。また、米国が離脱した、日本など11カ国が合意した環太平洋連携協定(TPP)について「加入を積極的に考慮している」とし参加に意欲を示した。
分断され混乱する米国をよそに、世界のリーダーシップを握ろうとしている。もちろん香港・台湾、南シナ海、尖閣諸島、ウィグル族問題などを抱え世界から批判され、海上では緊張状態が続いている不安はあるが、いずれも内政問題として強行突破しようとしている。
米国のテスラ、GMを始め、14億人の市場に参入し大きな利益を上げている国は多い。殆どの国が中国を貿易相手国の最重要国としている。人口の多さ、日欧米と比べ成長段階ではまだ若いメリットを生かしさらに前進しそうだ。外交では難しい局面もあるが相手国に経済面で押し切ろうとする強さがある。中国が自由貿易を訴え、米国が管理貿易に向かうなど時代は変わった。
(経済活動、来年は合理的な水準に回復=李首相)
李克強首相は、国内の経済活動が来年には合理的な水準に回復するという見通しを示した。「中国は今年、プラスの経済成長を達成できる。来年は経済活動が合理的な範囲に回復すると予想している」と語った。中国の2020年3Q・GDPは前年同期比4.9%増加。1-9月期は前年同期比0.7%増だった。
李首相は「対外開放を引き続き拡大する。貿易黒字を追求することは絶対にない」と強調。輸出入における公平性を重視し、貿易収支の均衡を目指すとした。
外務省が発表した声明では、李首相は継続的かつ安定的なマクロ経済政策を維持し、多くの改革措置を行い、合理的な範囲への経済活動の回帰を促進するとした。
また、中国は積極的な財政政策と安定的な金融政策を引き続き実施するとした。
(高齢化対応の新政策策定へ)
2021-25年の次期5カ年計画に、急速に進む高齢化に対応し、出産を奨励する新たな措置を盛り込む計画だ。チャイナ・デーリーは、夫婦が子どもをさらに持つようになるよう、資金面や政策面で支援する方針と伝えた。
中国人口学会の副会長は「出生率、労働力の質、人口構造の改善に向け、より包摂的な人口政策が導入される見通し」と述べた。
中国は1978年、地方を中心とする人口の急速な増加が、貧困是正や経済発展の取り組みを阻害しているとして「一人っ子政策」を導入した。
しかし、急速な高齢化を受け、2016年に同政策を緩和し、子どもを2人持つことを容認した。
60歳以上の人口は昨年末時点で2億5400万人で、全人口に占める割合は18.1%。60歳以上の人口は2025年までに3億人に、35年までに4億人に達する見通し。一方、労働力人口は50年までに2億人減少すると予想されている。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン上限で揉みあう 急激な上昇を避ける政策か
日足、依然ボリバン上位で揉みあう。11月6日-20日の上昇ラインがサポート。11月16日-24日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。雲の上。
週足。10月19日週-11月2日週の下降ラインを上抜く。11月2日週-9日週の上昇ラインは下抜く。16円手前で上ヒゲとなる。ボリバン上限。雲の上。
月足、10月は陽線なるも長い上ヒゲを残した。ただ9月-10月の上昇ラインを維持。5月-7月の上昇ラインもサポート。1月-10月の下降ラインを上抜く。ボリバン中位越え上位へ。
年足陽転。11年-19年の上昇ラインは一時下抜くも上抜き返す。18年-19年の下降ラインが上値抵抗。
チーファンラマ
女性が2400万人不足している 男性深刻
2013年11月25日 のBBCの記事が出てきた。そこにはこうあった=「中国に結婚適齢期の女性が少なく(特に農村地域)独り者の男性が急増しているということだ。中国社会科学院によれば2020年までに、2400万人以上の中国人男性は、結婚適齢期に相手がいなくなるそうだ。
*一人っ子政策、かつ伝統的に子供は男の方が好まれるため、出産前に女の子と分かると中絶されることがあったらしい。
*三中全会で一人っ子政策は緩和されたが効果は時間がかかりそうだ」=
今年はその2020年だが、やはり女性が不足しているのだろうか。
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