FXを始めようという初心者が、FXについて調べたり、実際に始めたりすると、初めて見る専門用語に多々出くわすと思います。
その中のひとつが「PIPS」ではないでしょうか。
私たちの日常生活で、PIPSなんて言葉は聞いたことがありませんし、使ったこともありません。
ところが、FXの世界では“必須”ですし、トレーダーとしては、最初に覚えるべき単語かもしれません。
そこで今回は、これからFXを始めたいと考えている人向けに、FXで必ず登場する「PIPS」について解説してみましょう。
FXでは避けて通れない「PIPS」
PIPSとは、為替レートが変動する際の、変動幅を示す「単位」のことです。
そう言われても、ちょっとわかりにくいと思うので、具体的な例で説明してみます。
米ドル/円レートが1ドル=100.00円から、1ドル=100.01円に動いたとしましょう。
これを「1PIPS動いた」と表現します。
逆に、「1ドル=99.99円」に変動したときも「1PIPS動いた」と表現します。
同様に1ドル=100.10円になったなら10PIPS、1ドル=101円になったら100PIPSです。
PIPSは通貨によって変わる
この1PIPSという単位は、取引する通貨ペアによって、その中身が変化します。
これがFX初心者にとって、PIPSの意味を分かりにくくしている原因です。
例えば、先ほど例にあげた「米ドル/円」では1PIPS=0.01円(1銭)となりますが、「ユーロ/米ドル」では「1PIPS=0.0001ドル(0.01セント)」です。
この通貨ペアとPIPSの関係をまとめると、次のようになります。
・決済通貨(通貨ペアの右側)が日本円の場合:1PIPS=0.01円(1銭)
・決済通貨(通貨ペアの右側)が米ドルの場合:1PIPS=0.0001ドル(0.01セント)
一般的にFXでトレードできる通貨ペアは、このどちらかに該当します。
よく覚えておきましょう。
実際にFXで役に立つPIPSの計算
実際のFXトレードでは、このPIPSを用いて、次のような計算式でトレードの損益を計算します。
【獲得PIPS×1PIPSの基準値×通貨数=利益or損益】
1PIPSの基準値というのは、先ほどご説明した「1PIPS=0.01円」「1PIPS=0.0001ドル」といったものです。
例えばドル円10,000通貨のトレードで10PIPSを獲得した場合には、 10PIPS×0.01円×10,000通貨=1,000円 の利益という計算になります。
ちなみに、FXではトレードできる通貨の最低数量が決まっています。
これを取引通貨単位(ロット)といいます。
ほとんどの場合、1ロットが1万通貨単位です。
外為どっとコムのように1,000通貨単位※1の取引が可能なところもあります。
※1外為どっとコムではルーブル/円のみ1万通貨から。
それ以外の通貨ペアは1,000通貨から。
例えば、米ドル/円の場合、10,000通貨=10,000ドルが取引通貨単位であり、為替レートが1ドル=105円であれば、1ロット=10,000ドル=1,050,000円という計算になります。
1ドル=110円であれば1,100,000円、95円なら950,000円ということになります。
1,000通貨単位のところはその10分の1です。
取引通貨単位でみた場合、その時々で取引に必要な資金が変わるわけです。
その点は気を付けましょう。
なぜFXではPIPSを使うのか?
FXの共通単位としてPIPSが使われる理由のひとつは、トレードを分かりやすくするためです。
FXは単位の異なるさまざまな通貨を売買する取引ですから、どの通貨でも共通に使える単位が必要だったのです。
その結果、PIPSが生まれました。
また、コンマ何銭という非常に小さな値動きを追うFXですが、PIPSだと小数点以下がないので、分かりやすくなります。
また、PIPSを使うと「投資効率」を分かりやすく示すことができます。
例えば、AさんとBさんは、ある日のトレードで、ふたりとも1万円を稼いだとします。
利益だけを比較すると2人の投資効率には差がないように思いますが、以下のような場合はどうでしょうか?
・Aさんは1万通貨を持ち、100PIPSを獲得して、1万円の利益を得た
・Bさんは10万通貨を持ち、10PIPSを獲得して、1万円の利益を得た
FXでは、取引できる通貨量は手持ちの資金によって異なります。
Aさんは、Bさんよりも少ない資金と通貨量でありながら、より多くのPIPSを獲得することで、同じ金額の利益を稼ぎました。
つまり、投資効率が優れているというわけです。
FXで投資効率をはかるには、「いくら儲けたか」よりも「何PIPS獲得したか」をみなければならないのです。
PIPSを使う時の注意点
初心者にPIPSは分かりにくいかもしれませんが、FX取引に慣れてくれば、投資効率をはかるのにとても便利な単位です。
ただPIPSをみるときに、ひとつ注意していただきたいのは、「損切り」のラインをPIPSで決めないことです。
それは上述したように、保有している通貨量で、1PIPSあたりの損益が変わるからです。
トレードを行う時々で、相場の状況も違えば許容できる損失額も違ってきます。
あくまでも許容損失から損切りラインを設定するようにしてください。
PickUp編集部