総括
武漢開放、4月8日
予想レンジ 人民元/円 15.0-16.0
(ポイント)
*武漢市封鎖は4月8日に解除される
*コロナウィルスでの死者はイタリアとスペインが中国を上回った
*株価、人民元ともに相対的に安定
*米中「第1段階」通商合意は履行が確認されている
*1-2月鉱工業生産や小売売上は予想外の悪化
*政府は2Qから経済が正常化するとしている
*1-2月貿易収支は輸出が大幅減少
*1月消費者物価は新型ウィルス感染と豚コレラで上昇、2月は低下
*各種2月PMIは軒並み悪化
*今年は「第13次5カ年計画」の最終年
*習国家主席は、2020年の経済成長目標を達成できるとした
*政府は新型ウィルス感染は2月がピーク、4月に収束とした
*経済成長率は1Qは前年比4%台へ落ち込むが20年通年では5%後半になるという予想
*経済打撃は6兆円超か
*米国は中国の為替操作国の認定解除
*中国GDPが100兆元へ近づく
*中国の経済活動に回復の兆し=大気汚染から
(武漢開放、4月8日、サプライチェーンは、日本企業は)
中国湖北省の当局は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため武漢市を事実上封鎖していた措置について、4月8日に解除すると発表した。新たな感染者が減っているためとみられる。人やモノの移動がしづらい状況が改善し、工場の稼働率引き上げを後押しする可能性がある。
中国当局によると、新型コロナに感染していない証明書を持っていれば、武漢市の出入りができるようになる。同市では地下鉄やバスの運行再開を準備しており、今後は航空便や高速鉄道が再開となる可能性もある。
中国当局は3月11日、武漢市で世界のサプライチェーン(供給)に影響を与える自動車などの重点産業の生産再開を認め、ホンダなどが稼働を再開した。だが封鎖措置により部品などを運ぶ物流網が滞ったままで、1月の春節(旧正月)休暇で他の地域に帰省していた従業員らが武漢の職場に復帰しづらかった。
ただ日本政府は湖北省を感染症危険情報で渡航中止を勧告する「レベル3」に指定しており、武漢に住む日本人はなお戻りにくい。ジェトロによると、武漢市内には約160社の日本企業が進出する。駐在や長期出張で500~600人の日本人がいるが、新型コロナで多くが武漢を脱出した。
(ただ武漢で「大規模抗議発生の恐れ」)
2カ月以上にわたって封鎖措置が続く武漢市で、長期の行動制限を強いられた市民の不満が封鎖解除後に噴出し「大規模な抗議活動が起きる恐れがある」と警告する報告書を、共産党・政府に近い研究機関がまとめたことが分かった。矛先を習近平指導部に向かわせないため、世論を誘導するよう党に提言。関係者によると、報告書は党中央の担当部門に提出された。
中国当局は4月8日、武漢市の事実上の封鎖を解除する。発生情報の隠蔽など当局に対する市民の不信感が広がっており、封鎖解除に伴い責任追及を求める世論が強まることに習指導部が神経をとがらせているとみられる。
(G7外相、新型コロナ巡る中国の「偽情報工作」を議論)
ポンペオ米国務長官は3月25日、G7外相テレビ会議で、新型コロナウイルスを巡る中国の「意図的な偽情報工作」について議論したと明らかにした上で、中国で発生した新型コロナの流行に関して引き続き正確な情報が必要と訴えた。
ポンペオ長官は「中国共産党を含め全ての方面に完全な透明性が求められる。われわれは依然としてこの問題に直面しており、中国共産党は現在国内で起きている事柄について正しい情報を提供すべきだ」と述べた。さらに「多くの人の健康を守り、武漢ウイルスによって破壊された経済を立て直す」ために、中国を含め世界各国の協力が重要と訴えた。
(株価、人民元ともに相対的に安定)
上海総合指数は年初来8.8%安(3月25日終値)だが、世界中の株価指数がマイナス圏にある中で首位に立っている。人民元は対円で年初来0.32%安で安定している。
(イタリア 死者7500人超 中国の約2倍に、スペインも)
新型コロナウイルスに感染して亡くなった人がイタリアで7500人を超え、スペインでも3400人に上った。イタリア政府は、新型コロナウイルスに感染した人が7万4386人、亡くなった人は中国のおよそ2倍の7503人になったと発表した。
中国の死者数3281人。
(米中「第1段階」通商合意、農業面での履行進展を確認)
米通商代表部(USTR)は2月14日に発効した第1段階の米中通商合意を巡り農業関連での履行進展が確認されたと発表した。
共同声明で、米国産牛肉など中国向け農産物の輸出拡大措置が複数講じられているとし、米国から輸出されている食品および農産物は中国の関税引き下げの恩恵を受けているとした。
パーデュー農務長官は「これらの措置は第1段階合意の履行に向け中国が正しい方向に動いていることを示している」と指摘。「第1段階合意の完全な履行確保に向け中国と引き続き協力していく。二国間協議の継続とともに一段の改善と進展が見られることを期待している」と述べた。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン下限下抜きから上限へ向かうが雲に抵抗される
日足。ボリバン下限下抜きから上限へ向かう。雲で跳ね返され反落。3月24日-25日の上昇ラインを下抜く。3月10日-12日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。
週足。ボリバン下限下抜きからはバンド内へ戻す。3月2日週-9日週の下降ラインを上抜きボリバン中位。2週連続陽線、今週もここまで陽線。
月足、20年1月、2月は長い上ヒゲを残し12月-2月の上昇ラインを下抜く。一旦、ボリバン下限を下抜くが、現在急速に戻して陽転。20年1月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、一時11年-19年の上昇ラインを下抜くが上抜き返す。18年-19年の下降ラインが上値抵抗。
チーファンラマ
マージャン、ジム、カフェを解禁
四川省政府は3月25日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け禁止していたマージャン店などの営業を解禁すると通知した。大勢の人が集まることを防ぐため、1月下旬から措置が続いていた。感染者が急減したため、市民生活を正常化する。
ジムやインターネットカフェなどの再開も許可し、農村での宴会なども可能になった。四川省では3月に入り、新規感染者が報告されない日が多くなっている。
中国メディアによると、新型コロナの被害が深刻化して以降、公安当局が市民のマージャン卓をたたき壊すなど、行き過ぎた対応も出ていた。
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