総括
人民元は4か月連続上昇、GDPは100兆元
(今週=消費者物価、生産者物価)
予想レンジ 人民元/円 15.3-16.3
(ポイント)
*本日は12月CPI、PPIの発表
*中国GDPが100兆元へ
*人民元は対ドルで7.0以下で推移
*米中「第1段階」通商合意書の署名が1月15日に行われる
*経済指標は改善している
*米国は香港に続きウイグル人権法案を可決
*NATOは宣言で中国の脅威を取り上げた
*中国の2020年はGDPや所得倍増の達成年度
*来年の成長は6%程度か
*中国は米国以外への経済外交を積極的に進めている
*3Q・GDPは減速
*習主席は2049年までのリスクへの闘争を示唆、一方トランプ大統領は早期解決を望む
*米国は中国を為替操作国と認定
*中国は通貨バスケット制に基づき元を変動させる.
*全人代のCPI上昇目標は3%
(市況)
米中「第1段階」通商合意書の署名を1月15日にホワイトハウスで行うことや、人民銀行が預金準備率を0.5ポイント引き下げたことで上海総合指数、人民元ともに上昇した。景気指標では政府版の12月製造業PMIは50.2で11月から横ばい、財新の製造業PMIは51.5と、3年ぶり高水準だった前月の51.8から低下した。11月の工業部門企業利益は、前年比5.4%増で10月はの9.9%減から大幅改善した。11月の鉱工業生産や。小売売上高も10月から改善していた。人民元は1ドル7.0を僅かに下回って推移している。対米貿易は中国にとって重要だが、今後も続く関税戦争などに備えて、一帯一路政策を含め他国との経済振興を進めて米国とのリスク回避を図っている。
(中国経済の2019年成長率、減税効果が0.8ポイント押し上げ)
中国経済の成長率は昨年、政府による2兆元(約31兆2500億円)超の減税によって0.8ポイント程度押し上げられた。
国家税務総局が明らかにしたもので、減税規模は国内総生産(GDP)の2%余りに相当したと説明。このため、ブルームバーグの計算では中国の名目GDPが19年末時点で約100兆元と、18年の92兆元から拡大したもようだ。
習近平国家主席は昨年12月31日の新年に向けたメッセージで、中国のGDPが19年に「100兆元近くに達する見通しだ」と表明しており、今回のデータはそれを裏付けている。
税務総局によると、昨年の税収は1.8%増の約14兆元。伸び率は18年の9.5%から縮小した。
(対米貿易は、米国の赤字が縮小)
米国の19年11月の貿易赤字は、前月比8.2%減の430億8600万ドルと、16年10月以来3年1カ月ぶりの低水準となった。
トランプ政権が掲げる「米国第一主義」政策で注目されている中国に対するモノの貿易赤字は15.7%減の263億6600万ドルだった。中国からの輸入が9.2%減る一方、輸出が13.7%増加した。米中は19年12月に第1段階の合意に至ったものの、詳細を巡って混乱が続いている。
(ドル元相場は7.0以下で推移、米中貿易交渉進展で)
(米農産品の低関税輸入枠を拡大しない方針)
中国は、米国産農産品の購入拡大に向け、米国から輸入するトウモロコシ、小麦、コメの年間低関税枠を広げる措置は取らない方針。中国と米国は、「第1弾」の通商合意に署名する見通しだが、この報道で、中国が数十億ドル規模の米農産品購入拡大目標をどのように達成するのか疑問がでてきた。昨年12月、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、中国が米国産農産物の購入を2年間で320億ドル拡大すると確約したと明らかにした。
これを受け、これら3品目を1%の関税で輸入できる枠が拡大するとの憶測が広がっていた。
テクニカル分析(人民元/円)
4か月連続上昇、昨日は1日でボリバン下限から上限へ
日足。1月8日は1日でボリバン下限から上限へ上昇。また1月6日のボリバン下限から1月8日はボリバン上限へ上昇。ボラティリティーが高い。5日線上向き。12月4日-1月8日の上昇ラインがサポート。
週足。12月9日週-30日週の下降ラインを上抜く。ボリバン上位。雲の下。10月7日週-1月6日週の上昇ラインがサポート。ボリバン上限は15.85。
月足、4か月連続上昇後、今年も上昇スタート。19年10月-12月の上昇ラインがサポート。19年4月-5月の下降ラインを上抜く。15年5月-19年4月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-18年の上昇ラインを下抜く。18年-19年の下降ラインが上値抵抗。11年-19年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
デジタル人民元
麻生財務相は、中国の台頭に警戒感を示し、中国人民銀行が開発に取り組むデジタル人民元が「国際決済で使われることを頭に入れておく必要がある」と述べた。米ドルで決済してきた日本にとって「きわめて大きな問題だ」と語った。
また麻生財務相は「米国ではアンチ・チャイナが上下両院、ほぼ100%だろう」と指摘。米国の大統領がトランプ氏から代わっても、米国の中国に対する強い警戒感は変わらず、「令和の新時代が米中新冷戦の始まりだったと後世の歴史が書くと思う」と述べた。日本政府としても国益を踏まえて対応していくとした。
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。