総括
米国の関税発動前、人民元は小動き
(先週=財新製造業PMI 財新サービス業PMI、今週=米中関税発動(予定)消費者物価 生産者物価)(通貨8位、株価11位)
予想レンジ 人民元/円 15.0-16.0
(ポイント)
*米中通商協議の進み具合で人民元が動くが値幅は小さい
*11月は輸出が減少
*11月はCPIが上昇。PPIが低下
*12月15日が米国の対中関税引き上げの期限
*PMIはいずれも改善 11月分
*米国は香港に続きウイグル人権法案を可決
*NATOは宣言で中国の脅威を取り上げた
*中国の2020年はGDPや所得倍増の達成年度
*来年の成長は6%程度か
*工業利益は大幅減少
*中国は米国以外への経済外交を積極的に進めている
*3Q・GDPは減速
*習主席は2049年までのリスクへの闘争を示唆、一方トランプ大統領は早期解決を望む
*米国は中国を為替操作国と認定
*中国は通貨バスケット制に基づき元を変動させる.
*全人代のCPI上昇目標は3%
(市況)
世界中が米国の関税政策に振り回されている。今週はその中で大きなイベントの一つである「対中追加関税の発動期日=12月15日」がある。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は、米中通商協議に任意の期限は設けていないが、対中追加関税の発動期日は依然重要という考えを示した。米中協議については「建設的に協議している。ほぼ毎日話し合っている。われわれは近い」と強調。同時にトランプ大統領はまだ中国との合意文書に調印する用意はできていないと述べた。トランプ大統領も動じない中国に対して駆け引きしている。「中国との通商交渉合意に期限はないとし、来年11月の大統領選挙後まで待った方が良いかもしれない」と述べたり、香港人権法案やウィグル人権法案で圧力をかけている。またNATO会議では「NATOが安全な第5世代(5G)移動通信網技術を必要としていると表明したことを受け、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は安全保障上のリスク」と強調した。
経済指標は製造業PMIなどは持ち直しているが、12月15日の関税発動のイベントに対しては大きな影響はない。11月貿易収支は以下の通り
*11月貿易収支
*貿易収支387.3億ドル黒字 10月430.2億ドル 予想463億ドル
*輸出 前年比1.1%減少、輸入0.3%増
(経済成長率6%、中国にとって特別な数字にあらず)
国務院発展研究センターの王一鳴副主任は、「6%は特別な意味を持つ分岐点ではない」と指摘。「成長率がそれよりもやや高い、あるいは若干低いというのは主要な問題にならない。鍵となるのは成長の質ならびに効率性だ」と説いた。
一方で、王氏は中程度から高い水準の成長率を維持することがなお重要だとも説明。国内総生産(GDP)成長率が低いと雇用や全体のレバレッジレシオの管理には障害となり、構造調整の余地も乏しくなると警鐘を鳴らした。
3Qの中国経済は6%成長と数十年ぶりの低い伸びにとどまった。内需低迷が続き、対外的な先行き不透明感も強く、一段と鈍化する方向にある。
(人民元は動揺せず)
米関税発動期限の12月15日を前に報道は活発となりがちだが、ドル元相場はそれほど動揺せず落ち着いた動き。楽観的でも悲観的でもない。
(PPI、11月は5カ月連続下落、CPIは肉高騰で8年ぶり高い伸び )
* CPI、前年比+4.5%、前月比+0.4%
* PPI、前年比-1.4%、前月比-0.1%
11月CPIは前年比4.5%上昇し、2012年1月以来の大幅な伸び。アフリカ豚コレラの感染拡大による豚肉価格の急騰が主因。
PPIは、軟調な需要や輸出の低迷が響いて5カ月連続で前年比で下落した。製造業活動に回復の兆しがあるものの、需要が引き続き弱いことを示した。
中国は米国と「第1段階」の通商合意に向けて交渉を続けているが、主要な部分でなお溝がある。合意が成立したとしても、経済の減速は当面続くと予想され、政府高官からは2020年の成長目標を6%程度に引き下げるべきとの声も聞かれる。
中国政府は、市場金利や地方政府の特別債発行などの面から数々の景気支援策を打っている。しかし、過去に打ち出したような「洪水のような」大規模な景気対策には否定的。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン下限から反発も20日線越えず
日足。月初はボリバン上位から反落しボリバン下限下抜きへ。そこから反発も20日線を越えきれず。12月4日-10日の上昇ラインを下抜く。12月2日-11日の下降ラインが上値抵抗。10月10日-12月4日の上昇ラインが.サポート。5日線上向き。ボリバン下位。雲の上限まで下落。
週足。11月4日週-12月2日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン上位。雲の下。10月7日週-12月2日週の上昇ラインがサポート。
月足、3か月連続上昇後、今月は下落スタート。9月-10月の上昇ラインを下抜く。19年8月-11月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-18年の上昇ラインを下抜く。16年-18年の下降ラインが上値抵抗。11年-12年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
メキシコ経済外交
メキシコと中国の政府と企業のハイレベル代表団が、メキシコ市で貿易と海外投資について協議を行う。貿易の円滑化、海外直接投資、エネルギー、インフラ、通信、金融サービスにおける協力などが今回の議題に挙がっている。
メキシコ全国農牧協議会は、メキシコ経済省から協議への招請があり、出席するとした。新市場開拓と一部製品に対する関税軽減、植物検疫制度の確立を目指している。こうした協議は今回で7回目。前回は、昨年11月に上海で行われた。
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