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【ファイナンス】人工肉(代替肉)は投資対象の巨大産業になるか

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2050年に世界人口は100億人に迫るとされています。
深刻化する食糧問題や環境問題が喫緊の課題とされる中、懸念されるタンパク質不足の解決策として、一躍注目されているのが人工肉(代替肉)です。
植物由来の素材を使っているにもかかわらず、味も食感も本物の肉と遜色ないクオリティとされ、今後さらなる急成長が見込まれています。
日本では、まだほとんど見かけることはありませんが、代替肉メーカーの筆頭格であるアメリカの『ビヨンドミート』に、日本の三井物産が出資しており、近いうちに日本でも一大ブームがくるかもしれません。

世界で広がる人工肉、日本での流通は...

今、アメリカで注目を集めている『インポッシブル・バーガー』は、肉を使わないハンバーガーです。
ニューヨーク・マンハッタンの有名レストラン「モモフク・ニシ」をはじめ、全米約1000カ所のレストランで味わえます。
言われなければ気づかないほどジューシーで、肉としての再現度が優れているといいます。

開発したのはシリコンバレーのベンチャー企業『インポッシブル・フーズ』です。
ビル・ゲイツをはじめとするIT長者たちが、巨額を投じたことでも有名です。
「肉はなぜ肉の味がするのか」という命題を追求し、分子レベルでの研究から、完全植物性のパテの開発に成功しました。

アメリカでは2009年創業のビヨンドミートも話題を牽引しています。
大手スーパーに植物由来のバーガーやチキンなどを提供する同社には、ビル・ゲイツのほか、俳優のレオナルド・ディカプリオも出資。
日本からは「未来の食糧資源」と三井物産が着目、出資するとともに、日本での発売を準備しています。

ビヨンドミートは2019年1~3月期の決算が、市場予想を上回る大幅増収となりました。
2019年12月期通期売上高見通しも、前年同期比で2.4倍となる2億1000万ドル以上を見込んでいます。
これを受けて、2019年6月6日の米株式市場の時間外取引で、ビヨンドミートの株価は急伸し、前日比3.0%安の99.50ドルで、通常取引を終えた後に、時間外取引で117ドル前後へと上場来高値を上回る水準で推移しました。
2019年5月に上場したときの初値が46ドルだっただけに、代替肉普及への期待はさらに大きくなっていると言えそうです。
同様に、イギリスの「ビーガン・ソーセージ・ロール」を展開するベーカリー大手の「グレッグズ」も同月、上場来最高値を更新しました。

このほか、日本人にもなじみのある「ケンタッキーフライドチキン(KFC)」が、ロンドンの店舗などで植物代用食品「クォーン」を用いたチキンフィレサンド(のようなもの)を2019年6月に期間限定で販売しました。
また、マグドナルドも2017~2019年にかけてフィンランド、スウェーデン、ノルウェーや本国のアメリカで、植物性パテをはさんだバーガーやナゲットを販売しており、大手ファストフード会社もチャレンジしています。

人工肉が広まる理由

大西洋をまたいで、アメリカとヨーロッパで、これほどの代替肉ブームが起きているのはなぜでしょうか。

ダイエットのために、動物の肉や卵、乳製品の摂取を避けるという健康・美容志向の高まりがあります。
また、思想信条や宗教上の理由から、ベジタリアンになる人も、欧米では多いでしょう。
最近では、ベジタリアンの種類も細分化して、一切の動物性食品を食べない「ビーガン」から、卵や乳製品は食べる「オボ・ラクト・ベジタリアン」、魚介類は食べる「ペクスタリアン」、時には肉を食べる「フレキシタリアン」に至るまで、さまざまなタイプが登場しています。

ベジタリアンの定義が、より緩いものになり、ベジタリアンのイメージも軟化したようです。
供給される食品のバラエティーも増えて、より気軽にベジタリアンになる人が増加しました。
英大手スーパーの調査によると、肉の摂取を止めたり、減らしたりする人は、イギリス国民の3割を超えるといいます。
それだけ代替肉の需要は広がっているのです。

このほか、牛がゲップとして出す温室効果ガスや、家畜の飼料栽培などが、地球環境への負荷が大きいことに、欧米社会に対する懸念や、動物愛護精神の高まりも欧米では顕著になっています。
2017年に改訂された国連の推計では、現在76億人の世界人口は、2050年には98億人、2100年には112億人に達するといい、世界でタンパク質不足が見込まれています。

ダイエット市場拡大の日本での人気は...

代替肉がこれだけ欧米でブレークし、肉の摂取を減らす人が増えているにもかかわらず、日本では逆に肉の消費量が伸びています。
これまで日本では「肉を食べると太る」とされてきましたが、「赤身肉はヘルシー」との認識が最近は高まっており、シニア世代の栄養不足解消のために、動物性タンパク質の摂取が推奨されています。

牛肉の消費量が増加したこともさることながら、鶏肉の消費量が、ここ数年で一気に増えて、2012年からは豚肉を上回り、食肉消費の主役に躍り出ています。
鶏肉は牛肉などと比較して安価であり、2013年頃から大手コンビニが「サラダチキン」を発売し、高タンパク低カロリー食品として大ヒットしたことなども影響しているようです。
欧米で代替肉が売れている背景には「肉は食べたいけど健康には気をつけたい」という消費者のモチベーションがあるといいます。
サラダチキンのヒットを考えると、日本国内でも同様に傾向に進むことも予想されます。

日本の大手総合商社である三井物産がビヨンドミートに出資しました。
今後、日本国内での発売に向けて準備中だといいます。
代替肉はサラダチキンを追い抜く人気商品になるのでしょうか。
いずれにしても、大きな話題となるのは間違いなさそうです。
投資という観点からも注目を集めることは必至と言えそうです。


PickUp編集部