本日のNY市場におけるドル円は、引き続き米国とイラン間の和平交渉の進展に左右される展開となりそうだ。この数日は、米国側から和平交渉に前向きな姿勢を示す報道が相次いでいることで、原油先物価格が弱含み、ドル買いの巻き戻しが優勢となっている。しかしながら、二転三転するトランプ政権の対イラン政策は、相場の不確実性を高める要因として引き続き注視したい。
ワシントンとテヘランが戦争終結に向けた合意に近づいているとの報道が連日米国側から流れているが、現時点ではあくまでも米国発の情報が中心となっている。全米自動車協会(AAA)が公表した全米平均のレギュラーガソリン価格は1ガロン=4.558ドルと、昨日からさらに上昇し、家計への負担感が強まる「異常水準」とされる4.5ドル台を上回っている。一方で、トランプ大統領および政権支持率は低下傾向が続いており、政権側としては早期終戦への焦りもにじむ。もっとも、米国が提案している和平案の詳細は依然として不透明だ。イラン側からすれば、直近の核交渉だけでなく、歴史的にも米国から幾度となく合意を反故にされてきた経緯があることで、全面的な合意形成にはなお時間を要する可能性が高いだろう。
仮にイラン側が合意に応じない場合、トランプ大統領は「爆撃が始まるだろう。そして残念ながら、それは以前よりもはるかに高いレベルと激しさで行われるだろう」と強硬姿勢を示している。しかし、実際に軍事行動へ踏み切れば巨額の戦費負担に加え、戦争長期化による混迷拡大も避けられないため、米国側も容易には動きづらいのが実情だろう。当面は、米国側から発信される和平進展の演出や強硬発言だけでなく、イラン側の反応や見解を慎重に見極めながら取引する必要がありそうだ。
なお、本日は前週分の米新規失業保険申請件数や失業保険継続受給者数など複数の雇用関連指標が発表される。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の政策運営では、足元で雇用情勢以上にインフレ動向への関心が強まっている。そのため、明日の米雇用統計を含め、雇用指標に対する市場の反応は一時的なものにとどまる可能性がありそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、昨日介入後の戻り高値156.57円近辺、その上は水準的には離れているが6日高値157.94円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、昨日NY参入直後の安値155.62円近辺、その下は6日安値155.04円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
