本日のロンドンタイムでユーロドルは、米・イラン和平協議の進展期待を手掛かりに底堅い推移が続くとみられる。先週末、米側特使のパキスタン訪問が直前に中止されたことで協議再開への期待は後退したが、ユーロドルの下押しは限られた。週明けにはAxiosが、イランが核交渉を先送りしつつ「ホルムズ海峡の封鎖解除と停戦延長を軸とした新提案」を米国に提示したと報道。外交的な動きが続いていることは相場の支えになりやすい。
もっとも、楽観的な見方に傾きすぎは禁物だろう。イランの新提案は、ホワイトハウスが受け取ったものの、米国側が検討に応じるかどうかは現時点で不明とされる。ホルムズ海峡の封鎖解除はトランプ政権にとって対イラン交渉上の最大のカードであり、停戦・封鎖解除を先行させてしまえば核問題での圧力が失われかねない。
トランプ大統領は海上封鎖の継続でイランを締め上げる姿勢を崩しておらず、イランのアラグチ外相がモスクワでプーチン大統領との会談に向かう動きも、交渉の複雑さを改めて映し出している。外交の進展に対する期待は、現時点では慎重に見ておく必要がある。
欧州情勢も相場の背景として意識される。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が発表した統計では、2025年の欧州の軍事費が前年比14%増と世界全体をけん引した。NATOをめぐる米欧の亀裂は深まっており、米国防総省内ではスペインのNATO資格停止案が検討されたと伝わる一方、EUはキプロス首脳会議で米国抜きの相互防衛枠組みの活用策を議論した。
防衛支出の急拡大は財政負担の拡大につながるとの見方もあり、ユーロの重しとなりうる点は否めない。米欧間の安全保障の溝がさらに広がれば、リスク回避的なユーロ売りが強まる場面も想定される。
今週は、30日に欧州中央銀行(ECB)理事会が政策金利を発表予定。インフレ懸念がくすぶるなか、市場では据え置きが大勢を占める。なお本日は、5月独消費者信頼感指数(GfK調査)の発表も予定されているが、相場へのインパクトは限定的だろう。イラン情勢を巡るトランプ政権内の協議の行方や、アラグチ外相のロシア訪問の結果が、ロンドン市場の方向感を左右することになりそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、21日高値1.1791ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、23日安値1.1669ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
