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日経平均7万円到達はあり得るか?武者陵司が語る日本株上昇の3つの根拠【BOOK REVIEW】2026年4月12日

💡 なぜ今この本を読むべきか?

 高市政権発足後、日経平均株価は5万円台に突入し、2026年2月の衆院選で自民党が圧勝したことも追い風となって、6万円台が射程圏内に入ってきました。

 「まだ上がるのか、それとも暴落は避けられないのか?

 投資家なら誰もが関心を寄せるこの問いについて、ストラテジスト・武者陵司氏がご著書『株価7万円の最強日本経済』で深く考察しています。本書では、地政学マクロ経済株式市場の構造変化という3つの視点から重要な論点が示されています。本稿では、その要点を整理してご紹介します。

📖 こんな人に読んでほしい

・円安・インフレが続く中で、資産防衛を考えたい方
・日本株がなぜここまで上昇しているのか、しっかり理解したい方
・今後の投資戦略をじっくり考えたい方

① 「保守ナショナリズム革命」が株高ストーリーをつくる

●グローバル化の恩恵を受けられなかった人々の怒り

 トランプ政権の誕生、英国のブレグジット。この10〜20年で先進国各地を揺るがしてきた政治変動には、共通した背景があります。グローバル化やテクノロジーの発展によって高所得層や新興国中間層は豊かになった一方で、先進国の中間層は置き去りにされました。その不満や怒りが、既存の秩序への反発として噴き出したのです。

 日本も例外ではありません。2022年以降の急激な円安・インフレが多くの人の生活を直撃し、国民民主党や参政党といった保守系政党の躍進につながりました。そして2025年10月、高市政権が誕生します。

●株が上がるには「株高ストーリー」が必要

 武者氏は、株価上昇の条件として「①バリュエーション」「②需給」「③株高ストーリー」の3つを挙げています。日本株がこれまで大きく上昇しにくかった理由は、バリュエーションや需給の問題ではなく、「この国の株を買いたい」と思わせるストーリーが欠けていたからだと分析しています。

 高市政権による保守化・積極財政への転換が、そのストーリーとして機能し始めたと武者氏は分析します。世界的な「保守・ナショナリズム革命」の潮流が日本にも波及し、その動きが市場で好意的に受け止められている、という見方です。

② 日本に地政学的な「追い風」が吹いている

●日経平均の歴史は、地政学の歴史でもある

 武者氏の分析で特に興味深いのが、日本株の長期推移を地政学的な文脈で読み解く視点です。

 明治〜大正期には日英同盟のもとで日露戦争・第一次世界大戦に勝利し、世界5大国の一角に躍り出ました。しかし昭和前期には日英同盟が破棄され、アメリカと対立した結果、第二次世界大戦に敗戦しました。

 戦後は朝鮮戦争や冷戦の勃発で、米国が「強い日本」を必要とし、経済成長を後押し。日本経済は強い成長を実現しました。

 ところが平成前半には米国企業をなぎ倒していく日本が脅威とみなされ、米国による「日本叩き」によって長期停滞を経験しました。

 その後の平成後半以降は米中対立の激化により、再び米国が「強い日本」を必要とし始めています。

 このように見ると、日本株の浮き沈みはアメリカの対日姿勢の変化と強く連動していることがわかります。そして今まさに、地政学的な追い風が日本株や日本経済に有利に働く局面だというのが武者氏の見立てです。

●アジアで安全な投資先は日本

 脱グローバル化やサプライチェーン再構築の流れの中で、アジアへの投資・製造拠点の移転が進んでいます。しかし台湾には「台湾有事」のリスクが、韓国には北朝鮮の脅威があります。相対的に政治・安全保障面で安定しており、円安によるコスト優位性もある日本は、企業立地としても投資先としても魅力が高まっています。

 なお武者氏は、トランプ政権によるベネズエラやイランへの関与も「米中対立の延長線上にある」と捉えています。中国が資源・エネルギーを依存している国への圧力を強めることで、中国のエネルギー調達を封じ込める意図があるという分析です。

③ 「株式至上主義」の時代——株を持たないことがリスクになる

●銀行に代わって、株価上昇が経済の土台に

 武者氏は、2008年のリーマンショック以降、銀行貸出を通じて景気を刺激する従来型のチャンネルは機能しにくくなっているとみています。その一方で、これに代わる新たなメカニズムとして、「資産価格の上昇が新たな需要を生み出す」という構造が定着しつつあると分析しています。

 武者氏の分析によれば、株価の上昇は資産効果を通じて個人消費を喚起し、経済成長を支える要因となります。こうした認識のもと、各国の政策当局は経済成長を促進する観点から株価を重視する政策を採用しており、武者氏はこの構造を「株式至上主義」と整理しています。

●投資する人としない人で格差が拡大する時代

 武者氏は、この構造が定着すれば、株式などのリスク資産を持つ人と持たない人との間で資産格差が広がる可能性があるとみています。また、「老後に備えて預金を積み上げるだけでは対応しきれない時代に入りつつある」との認識を示しており、投資の重要性を語っています。

🌟 まとめ——「知恵と勇気をもってリスクを取る」

 武者氏は、長年にわたり日本株に対して強気の見方を示してきたことで知られています。実際に本書では、そうした武者氏の見解を参考に早い段階から株式投資を始めた結果、老後資金に一定の余裕が生まれた事例も紹介されています。

 もちろん、相場に絶対はありません。地政学リスクの急変などの下振れリスクも常に念頭に置く必要があります。ただ武者氏の分析は「ただなんとなく強気」ではなく、歴史地政学株式市場の構造変化という複数の根拠に基づいており、投資判断を検討する際の参考情報として、ご活用いただける内容です。

 円安・インフレが続く時代において、「投資しないこと」自体がリスクになりつつあります。適切なリスク管理を前提としながら、知恵と勇気をもって自分なりの投資判断を磨いていく姿勢が、これからますます求められるのではないでしょうか。

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yoshizaki.jpg武者陵司氏
1973年横浜国立大学経済学部卒業後、大和証券(株)に入社。 1988年~1993年ニューヨーク駐在、(株)大和総研アメリカでチーフアナリスト、米国のマクロ・ミクロ市場を調査。1997年ドイツ証券(株)調査部長兼チーフストラテジスト、2005年ドイツ証券(株)副会長を経て、2009年(株)武者リサーチを設立。 著書に『株価7万円の最強日本経済』等がある。

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