昨日の海外市場でドル円は、NY勢が本格参入すると全般ドル売りが優勢となったほか、ユーロ円の下落につれた円買い・ドル売りが入った。米国株相場の下落も相場の重しとなり、一時155.92円と日通し安値を更新した。ユーロドルは、ロンドン・フィキシングに絡んだユーロ売りのフローが観測されると失速し、一時1.1750ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間のドル円は、年末を前に市場流動性が悪化していることで、非常に神経質な動きになるだろう。特にここ最近は円買い・円売り要因となる不確定要素が交錯していることで、思惑だけでも上下しやすくなっている。
本日で今年の東京市場は取引最終日を迎えるが、明日はドイツやスイス市場も休場。また、豪州・ニュージーランドのオセアニア両国や英・仏の欧州市場も明日は短縮取引になる。休場や短縮取引を前に月末・期末・年末とみなす取引も増え、様々なフローが交錯しやすい一日になる。
昨年12月30日のドル円は、アジア時間で158円台に乗せたものの、米国の経済指標が予想より弱かったことや、米株安の影響を受けて156.67円まで下落。しかし、上述のように昨年も年末は英国市場が短縮取引のために、30日にロンドン・フィキシングの取引が集中し、フィキシングにかけては157円前半まで下値を切り上げている。本日も同様に、左程大きく反応するような経済指標の発表やニュースがない場合でも、流動性が悪いことで大きく上下を繰り返すことになりやすいだろう。
また、2026年を控え、円に関しては不確定要素が多いことも神経質に相場を動かすことになる。昨日公表された12月18-19日に行われた日銀金融政策決定会合の主な意見では「為替通じた物価への影響踏まえ、緩和調整を行うこと妥当」との文言が伝わった。これまで植田日銀総裁含め日銀は、為替が物価に影響を与えることは認識しているが「特定の水準に誘導する政策はしていない」との姿勢だった。これまで現行の水準よりも円安が進んでいた時も、金融政策決定会合でこのような発言が出てこなかったものに変化が生じたのは、外圧を受けた政治的な動きとの観測もある。10月の日米財務相会談で、米財務省が公式に利上げ圧力をかけ、為替の過度の変動を防ぐように念を押していることで、これまでよりも米国の圧力が強い。よって、高市政権が利上げを認め円安阻止を積極的に行おうとしているとの憶測もあり、ドル円の上値を抑える要因になりそうだ。
一方で、外圧による特殊要因がなければ、通常は早急な為替介入は難しいと思われる。片山財務相は「為替動向は一方向で急激な動き、憂慮している」と発言していたが、先週財務相は「報道されている予算規模で為替はほとんど動いていない」と全く整合性のない発言をしている。おそらく放漫財政ではなく円や債券売り(=日本売り)が高市政権の責任ではないと示したいのだろう。財務相が言葉通りに「為替はほとんど動いていない」と捉えているのであれば、介入を行うのは全く辻褄が合わない。更に円安進行時には投機的な動きとの発言が多いが、12月16日の商品先物取引委員会(CFTC)が発表した円先物のみのポジション状況をみても、買い持ちも売り持ちもほぼ傾いていない。「投機的な動きもなく、ほとんど動いていない為替市場で介入を行うことは通常はありえない」と思われることがドル円の買い要因になる。
また、根深い円安は高市政権の責任なき積極財政も要因。2025年度から7兆円以上増え122.3兆円の予算案が決定し、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)に対しても不安要素が多い。非常に高い支持率に支えられている政権だが、市場は日本売りで政権に警鐘を鳴らしている状況は変わらない。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
