23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、政府・日銀による為替介入への警戒感が高まる中、欧州市場序盤に一時155.65円と日通し安値を付けた。NY時間発表の7-9月期米国内総生産(GDP)速報値が予想を上回ったことなどがドル買い戻しを誘い、一時156.54円付近まで持ち直したが、その後はクリスマス休暇を前に商いが低調となる中、次第に値動きが鈍り156円台前半でのもみ合いに転じた。ユーロドルは米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが先行すると一時1.1802ドルと日通し高値を付けたものの、16日の高値1.1804ドルが目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
本日の東京時間では、英米が短縮取引となるなど、クリスマスを前に動意が薄くなることが予想されるものの、円相場を巡る動向を注視することとなりそうだ。
足もとで円安が進行した理由として、日銀が次の利上げに明確な道筋を示さなかったこともあるが、高市政権の積極財政が放漫財政となるのではとの市場の懸念も挙げられる。
ただ、今週に入り22日に片山財務相が「過度な為替変動には断固たる措置。介入はフリーハンド」と発言したほか、23日には「行き過ぎた動きには対応取る」など、強い口調での円安けん制発言を行ったことで、円売りポジションがやや巻き戻されている。高市首相も23日に「責任ある積極財政、無責任な国債発行や減税を行うということではない」などと発言しており、財政懸念からくる円売りも一服となっている。
昨日、シカゴ商品先物取引委員会(CFTC)が公表した先物ポジション(12/16現在)によると、円は0.3万枚弱ではあるがショートに転じた。ネットでショートに転じたのは今年1月以来であり、円先安観が浮上していることがうかがえる。
また財政については、来年1月23日から予定されている通常国会を前に、首相から具体的な発言が伝わるか注視する展開が続きそうだ。それまでの間、市場で懸念がくすぶり続けることが予想され、潜在的な円売り圧力となることも考えられる。
ただ、三村財務官から伝わってきた発言は22日の「一方向で急激な動き、憂慮している」「行き過ぎた動きには適切な対応取る」など、財務相の発言と比べてやや口調は緩やかな印象を受ける。今後、一段と強い口調の円安けん制発言が出た場合、円買い介入への警戒感がドル円を押し下げる展開も想定される。関係者の発言に対する警戒は怠らないようにしたい。
なお、経済イベントでは日銀の金融政策決定会合議事要旨が予定されているものの、10月29-30日分であるため、相場への影響は限定的とみる。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
