昨日の海外市場でドル円は、米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが入ると、8日の安値154.90円を下抜けて一時154.84円まで値を下げた。ただ、154円台では押し目を拾いたい向きも多く、売り一巡後は下げ渋る展開となった。ユーロドルは、一時1.1769ドルと10月1日以来の高値を付けた。
本日の東京時間でのドル円は、神経質な動きになるだろう。本日のNY時間には、米国の政府機関閉鎖の影響で遅延していた米雇用統計が発表されることもあり、この結果までは値幅は限られるかもしれない。ただ、19日の日銀金融政策決定会合を前に、観測記事などで市場が急に動意づくこともあることには警戒したい。
日銀が設定しているブラックアウト期間(各金融政策決定会合の2営業日前・会合が2営業日以上にわたる場合には会合開始日の2営業日前)に入ったこともあり、日銀関係者からの発言は控えられる。ただ、市場では今回の会合は、ハト派的な利上げと利上げ継続との予想に分かれていることで、観測記事や憶測に基づいた噂で市場が急変するリスクはある。
日銀の利上げについては、今回の25ベーシスポイントの利上げは織り込み済み。ただ、今後の利上げスピードについては全く読めない状況。ハト派的な見解としては、これまで日銀の目指す2%の物価安定を超えるインフレ率(生鮮食品を除くコア指数)を2022年4月以後はすべて到達している。このような状況下であったのにも関わらず、利上げに踏み切らなかったことで日銀は積極的には動けず、市場は利上げを継続しないという見解がある。
一方で、利上げ継続に関しては、これまで自民党政権が利上げに反対をしていたことで日銀は動けなかったが、10月にベッセント米財務長官が来日時に日本に対して利上げ圧力をかけたことで、外圧により政権が利上げを容認したことがあげられる。本来であれば、中央銀行は独立性が確保されているが、日銀法第4条で「金融政策が『政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない』」と明記されているように、日銀はこれまでは政府の意向に反することはできなかった。しかし、政府が米国の圧力で利上げ方針を取らざるをえず、その影響で植田日銀総裁が実質金利の算出方法のインフレ基準(これまでの日銀の予想物価から消費者物価指数=CPI)に変更し、利上げが継続されるとの声がある。
昨日に日銀短観の発表があったこともあり、本日も多くのメディアが19日の金融政策決定会合についての記事を報じているが、引き続き予期せぬ報道で市場がかく乱することもありそうだ。
なお、上述のように米国勢参入後には米労働省統計局(BLS)が10・11月の米雇用統計を発表する。ただ、10月分は算出に必要な就業状況などの詳細情報を得るための世帯調査が実施されなかったことで、データ的に正確性に欠くと思われ、指標のずれには警戒したい。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
