本日の欧州時間では、11月独卸売物価指数(WPI)と10月ユーロ圏鉱工業生産が発表されるが、欧州中央銀行(ECB)は余程経済指標に変化が生じない限り、当面政策金利を据え置くことが予想されるため、米国市場が参入するまでは値動きも限られることになりそうだ。ただ、欧州の政治的な動向には注目したい。
本日は欧州連合(EU)外務理事会がブリュッセルで開かれる。18-19日に行われる首脳会談を前に、各国の思惑が交錯した下交渉の場になるか。首脳会談では凍結されたロシア資産をウクライナ支援のために、どのように活用するかの話し合いがもたれる。トランプ米大統領は自国がロシアとともにウクライナのレアアース獲得を目指し早期和解を目指しているが、ルッテNATO事務総長は先週、「欧州はロシアの次の標的であり、すでに危険にさらされている」と述べ、米国との溝があることを強調している。
もう一つの注目議題としては。EUがデジタルサービス法を適用するなど、米国の巨大IT企業を中心とした規制に対して、トランプ米大統領や米企業が不満を呈していることも話し合われるか。EU米国の摩擦が高まれば、トランプ米大統領が再びEUに対しての圧力を増す政策を発表する可能性もある。その場合は市場も動意づくことになりそうだ。
NY参入後は明日発表される11月雇用統計を確認するまでは大きく動くのは難しいだろうが、12月米ニューヨーク連銀製造業景気指数や米連邦準備理事会(FRB)要人(ミラン理事とウィリアムズ米ニューヨーク連銀)の発言での市場の反応には注目したい。
先月発表された米ニューヨーク連銀製造業景気指数は18.7と予想の7.6を上回ったことでドル買いを促したように、同指標は結果次第で素直にドル相場が反応する可能性が高い。
ミランFRB理事はトランプ米大統領が任命した理事であることで、トランプ氏の意向を組みハト派発言を繰り返すことが予想される。また、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁も11月後半に「短期的な利下げの余地はまだある」との見解を示し、ハト派色が濃くなっている。時間帯も欧州勢がまだ取引を継続している欧州時間午後ということで、発言内容次第では相場が急に動意づくこともありそうだ。
・想定レンジ上限
ユーロドル:9月23日高値1.1820ドル
・想定レンジ下限
ユーロドル:日足一目均衡表・転換線1.1689ドル
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
