本日のロンドン為替市場では、貿易交渉で米中が歩み寄ったことによるリスクセンチメント改善を受けた動きが中心か。なお、先週末に米格付け会社ムーディーズがフランスの格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたものの、相場の反応は限られた。仏政局の混乱から一時期高まったフランスへの警戒感も後退している。経済指標は10月独Ifo企業景況感指数が発表予定。
米中貿易交渉では、複数の争点(輸出規制やフェンタニル問題、船舶入港料など)で前向きな進展があった。これにより、トランプ米大統領が警告していた来月1日からの中国に対する100%の関税は撤回されるもよう。今月前半に急速に高まっていた二大経済大国の対立懸念は弱まってきた。米中首脳会談が実施され、両者の歩み寄りが明白となれば、リスクオンの動きが加速するのではないか。
注意すべきは、米国と中国ともに懸案事項が解決に向かうとなれば、両国とも欧州に対しては強気の態度に出るかもしれないこと。欧州と米国、欧州と中国間の貿易問題に関する報道には念のため注意しておきたい。今週は、欧州連合(EU)と中国の貿易交渉担当者が「輸出管理対話」の枠組みの下で会合を行う。中国のレアアース輸出規制や電気自動車、オランダの半導体メーカー・ネクスペリア(中国資本)などが主要議題となるもよう。
欧州・英国が冬時間に移行したため、本日の10月独Ifo企業景況感指数は18時に発表予定。市場予想は88.0と前回から若干の上振れだが、6月分には届かない見込みだ。なお今週は30日に欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が公表されるが、政策金利の据え置きがほぼ確実視されている。ECB理事会を控えたquiet period(いわゆるブラックアウト期間)のため、理事会メンバーの講演は予定されていない。
想定レンジ上限
・ユーロドル、17日高値1.1728ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、22日安値1.1577ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
