(◆ドル円、日米の金融政策や日米首脳会談を注視
◆米中首脳会談では更なる貿易摩擦を回避できるか否かに注目
◆ユーロドル、ECB理事会や10月消費者物価指数(HICP)に注意
予想レンジ
ドル円 150.00-155.00円
ユーロドル 1.1400-1.1800ドル
10月27日週の展望
ドル円は、日米金融政策決定会合での金融政策、日米首脳会談や米中首脳会談などを見極めていく展開となる。
28日に予定されているトランプ米大統領と高市新首相による初の日米首脳会談では、日米関税合意、5500億ドルの対米投資、防衛費負担増などが議題となることが見込まれている。ベッセント米財務長官は、日米関税合意の実施状況にトランプ米大統領が不満を感じれば、関税率を25%に戻す可能性を示唆しており、現状のドル円相場水準への言及などには警戒しておきたい。また、トランプ米大統領は30日、韓国で開催されるAPEC首脳会議の場で米中首脳会談に臨む予定となっており、11月1日からの対中関税引き上げを回避できるか否かに注目が集まっている。
米国では28-29日にFOMCが開催されるが、パウエルFRB議長は先日の講演で、根強いインフレへの懸念が残るものの、労働市場の軟化を重視する姿勢を示したほか、追加利下げを実施する見通しを維持した。FF金利誘導目標の0.25%引き下げ(3.75-4.00%)が見込まれている。また、バランスシート圧縮の打ち切りにも言及しており、今回の会合で決定される可能性もあるだろう。
また、日本では29-30日に日銀金融政策決定会合。高市新政権発足直後ということもあり、市場では利上げの見送りが見込まれる。「日銀は年末までの追加利上げの可能性は排除していないものの、来週会合での利上げを急ぐ必要はない」との関係者の話も報じられている。なお、片山財務相は「為替はファンダメンタルズを反映して安定的に推移するのが望ましい。日銀の利上げの方向性、現時点で特段コメントはない」などの見解を示した。
ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)理事会では政策金利の据え置きが予想されているものの、10月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)の伸び率が鈍化していた場合は利下げ観測が再燃するため注意しておきたい。また、中国のEUへのレアアース輸出規制強化による景況感悪化や、主要格付け3社のフランス国債の平均格付けが「AA」を下回ったことなどを受けて、中央銀行や機関投資家によるフランス国債売却が強まる場合には警戒が必要だろう。
10月20日週の回顧
ドル円は、週初に日銀が展望レポートで今年度のGDP見通しを引き上げる可能性が報じられたことを受けて一時150.28円まで下落したものの、高市新内閣が積極財政型の布陣となったことから、「高市トレード」が再燃。日経平均は利食い売りなどに押されたものの、ドル円は週末にかけて152.80円まで買い戻されている。また、ユーロドルは、相次ぐフランス国債の格下げやフランスの予算案を巡る政治的な混乱が重し。さらには、中国によるレアアース輸出規制強化などが嫌気され一時1.1577ドルまで下落した。(了)
執筆:10月24日、9:00)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
