昨日の海外市場でドル円は、高市政権の発足に伴う円売りが根強い中、一時152.80円と日通し高値を更新した。ユーロドルは1.1585ドルまで弱含んだ後は1.1620ドルまで切り返した。
本日の東京時間でのドル円も、「高市トレード」への期待が引き続き下値の支えとなるだろうが、本日のNY時間には米労働省が年金算出の必要性から、例外的に発表される9月の消費者物価指数(CPI)を発表することで、重要指標発表を控え限定的な動きになるか。
10月4日の自民党総裁選以後続いている「高市トレード」だが、多くの調査で政権支持率が6割を超えているように期待感は大きい。この期待感が続く限りは株高・円安に傾きやすい。ただ、今後発表されるだろう政策の内容次第で更に円安が進むのか、巻き戻しが入り円高に戻るのかを見定める必要がありそうだ。
市場の目は前述のように今晩の米CPIに移っているが、来週は国際的な政治イベントが目白押しなことも、本日のアジア時間の値動きを限らせるだろう。特に来週は27-29日にトランプ米大統領が来日予定で、28日に日米首脳会談が行われる可能性が高いことが注目される。高市政権は防衛費を今年度中に国内総生産(GDP)比2%に増額することを目指している。トランプ米大統領は北大西洋条約機構(NATO)に対しては5%の防衛費を要求、日本に対しても3.5%への増額を迫っているとされている。今回の首脳会談で高市首相が、その要求(3.5%への増額)を受け入れることになった場合は、現在も懸念されている財政確保の見通しが更に険しくなるだろう。また、30日には米中首脳会談も行われる可能性が高いことで、この会談の結果を確認するまではポジションを大きく動かしにくそうだ。
本日の経済指標では、本邦の9月全国消費者物価指数(CPI)が発表される。市場では生鮮食品を除くコア指数は8月の2.7%から2.9%へ上昇する予想。一方、コア指数にエネルギーを除いたコアコア指数は3.3%から3.1%への低下が予想されている。日銀の金融政策にとって重要な指標だが、10月30日公表の日銀金融政策決定会合では政権が交代したばかりなこともあり、据え置き予想が高まっていることで為替市場への影響は限られるものになるか。
なお、本日は高市首相による所信表明演説が行われる。ただ、通常はすぐに行われる野党の質問は、来週は国際イベントが絶え間なく予定されていることもあり、各党の代表質問は11月4日と5日に行われる予定。
ドル円以外の通貨は、昨日も極めて限定的なレンジ内で取引されたこともあり、本日の米CPI待ちになりそうだ。ただ、毎日のように中国に対する発言が二転三転するトランプ米大統領の発言が市場を動意づかせることもあることで、警戒はしておきたい。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
