本日のNY為替市場のドル円は、米中貿易摩擦や米政府機関の閉鎖などに関連した報道に注視する展開となりそうだ。
「高市トレード」(円売り・株買い)については、自民党新総裁就任後には153円台、新首相就任後はこれまでのところ152円台にとどまっており、さらなる上値を追うには、日米首脳会談や高市政権の政策実現性を見極める必要があるだろう。
今週末25日にはベッセント米財務長官と何立峰・中国副首相がマレーシアで会談し、来週韓国で予定されるトランプ米大統領と習近平中国国家主席による首脳会談の準備を進める見通しだ。一方、昨日ベッセント財務長官は、米国製ソフトウェアを使用した製品の対中輸出制限を検討していると述べ、米中貿易摩擦への懸念を強めた。
また、トランプ大統領は21日に「習主席との首脳会談は実現しないかもしれない」と発言したが、本日は「韓国で中国国家主席と長時間の会談を行う予定」と述べており、その気まぐれな発言には引き続き注意が必要だ。
28日に予定されている日米首脳会談では、日米関税合意や対米投資、防衛費増大などが確認される見込みだ。ただし、トランプ大統領にとってドル高・円安は不満の種であり、円売りをためらわせる要因となっている可能性もある。かつてベッセント財務長官は、日米関税合意の実施状況にトランプ大統領が不満を示せば、関税率を25%に戻す可能性を示唆していた。
日本の対米貿易黒字は、今年1~9月で5兆5630億円となり、トランプ関税がなかった昨年同期の6兆1556億円から5925億円減少した。24%の相互関税率の算出式では約18.5%まで低下しているものの、日米貿易不均衡是正には依然として程遠い状況にある。
今後も150円台でのドル高・円安傾向が続けば、日米貿易不均衡の是正は難しくなり、トランプ大統領が対日関税率を25%へ引き上げる可能性も否定できない。その場合、本邦通貨当局による円安是正措置への警戒も必要となる。
米国の政府機関閉鎖は本日で23日目となり、トランプ第1次政権下での最長記録35日に迫りつつある。財務省によれば、1週間あたりの損失は150億ドルに達するとされ、米経済やドルにとって潜在的なマイナス要因となっている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、153.27円(10/10高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、151.00円(日足一目均衡表・転換線)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
