本日のNY為替市場では、米政府機関の一時閉鎖の影響で雇用やインフレに関する政府からの指標発表が軒並み延期となる中、ドル円は週初からの「高市トレード」(日本円売り・日本国債売り・日本株買い)の持続力を見極めつつ、複数の米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言を確認してゆくことになるか。
8日に公表された9月16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、雇用についての懸念を理由に利下げを決定する一方、「参加者の大多数はインフレ見通しの上振れリスクを強調した」ことも明らかとなった。
NY序盤にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を始め、ボウマンFRB副議長やカシュカリ米ミネアポリス連銀総裁の発言機会が予定されている。28-29日のFOMCを前に18日からブラックアウト期間となる中、インフレと雇用のどちらに重点を置いた内容となるか注目したい。金融政策への言及がない可能性もあるものの、インフレ重視ならば28-29日のFOMCでの利下げ観測が後退してドル買いにつながる可能性がある一方、雇用重視ならば利下げ予想が一段と高まってドルが売られることも考えられる。FOMCが近づくも経済指標の発表が少なく、市場は手掛かり材料に飢えている中、過敏な反応を見せる恐れがある点には注意したい。
また、週初からの「高市トレード」の持続力にも注目したい。本日も欧州勢が円売りで参入すると、16時過ぎに153.20円台まで上昇して2月以来の高値を付けている。節目の154円もおぼろげながら視野に入る中、本邦金融当局者からの強い円安けん制が入るなど何かしらの手掛かりがないと、円安相場の反転は容易ではないかもしれない。
ただ、気になるのは、国会での首相指名の行方である。昨日の一部報道によると、臨時国会の召集が当初の15日から後ずれすると伝えられたことで、「高市総理」が誕生するまでに紆余曲折が予想される。現状、衆議院での自民・公明の合計議席数は220と過半数の233に届かず、他政党の協力が不可欠だ。しかも、公明は連立離脱のそぶりを見せていることもあり、衆院での過半数獲得が不透明となっている。今のところ海外勢は材料視していない様子だが、海外勢が着目して円が買い戻されるシナリオも想定しておきたい。
想定レンジ上限
・ドル円は、ピボット・レジスタンス 2の153.74円。超えると心理的節目の154.00円
想定レンジ下限
・ドル円は、現時点での本日安値152.41円。割り込むと8日安値151.74円。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
