昨日の海外市場でドル円は、日本時間夕刻に一時149.14円と8月1日以来の高値を付けたものの、7月米JOLTS求人件数が予想を下回ると147.88円まで反落した。ユーロドルは低調な米雇用関連指標の結果を受けて米長期金利が低下すると、1.1682ドルまで上昇した。
本日の東京時間でのドル円は、超長期債利回りの値動きや本邦の政治状況を見極めながらの展開になりそうだ。また、本日もNY入り後には米雇用指標の発表が予定されており、相場の流れが一転するリスクにも備えておきたい。
1日に行われた自民党の両院議員総会後は政治的混迷が深まり、財政規律を重視する石破首相退陣リスクへの警戒感が高まった。昨日の本邦超長期債は下落し、新発30年物国債利回りは過去最高水準を記録した。ただ、これは米国発のスティープニング(短期金利と長期金利の金利差が拡大)とは若干異なることに注意しておきたい。
米国の超長期債下落、いわゆる「信認低下トレード」は、トランプ米大統領がクック米連邦準備理事会(FRB)理事の解任発表で、米政権がFRBを掌握する懸念が高まったことがきっかけ。FRBの独立性を奪い取り、米国の膨張する債務負担を軽減させるため、トランプ政権がFRBに利下げを強制するリスクが高まっている。一方で、インフレ抑制にも歯止めがかけられなくなるリスクも危惧されている。
しかし、日本の場合は様相が違う。石破首相が退任を表明していないだけではなく、総裁選の前倒しも決定事項ではない。さらに次期自民党総裁が前回の総裁選と違い、具体的に誰が立候補するかも未定で、財政拡張路線となるのかも不透明なままだ。
また、日銀が政府の意向を組まなくてはいけない(日本銀行第4条「金融政策が『政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない』」)のは事実。しかしながら、トランプ政権が行おうとしているほどの中銀の独立性を無視した政策遂行は、政府・日銀とも取りにくいだろう。これらの差異を考慮して、本日も超長期債などの動向を見ておく必要がありそうだ。
ただ本邦の政治状況が分かりにくいため、石破首相の進退が不透明な限り、海外投資家を中心に一方的な円買いに動くのは難しいだろう。よって、8日予定の「総裁選前倒しを求める議員の署名提出」に向けた政治動向が焦点となる。
日本時間午前は、トランプ米大統領の突発的に発せられるSNSでの発言にも要注目。昨日は2名の共和党の上院議員が、クック米連邦準備理事会(FRB)理事の訴訟の判決が出るまでは、後任を検討しないと述べた。トランプ大統領がこれらの議員への圧力をかけるか、または反対を表明する議員が増加するのかが注目される。
本日も、アジア時間のトレンドがNY市場で急変するリスクには要警戒。昨日は、7月米JOLTS求人件数が予想を下回ったことで、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ予想がさらに高まった。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウォッチ」では、9月の利下げ確率は91%台から96%超えまで上昇した。
JOLTSは雇用統計同様に米労働省労働統計局(BLS)が発表する指標。本日は、同じくBLSが発表する新規失業保険申請件数・失業保険継続受給者数だけでなく、民間のチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社やオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)社の雇用指標も発表される。市場ではBLSの数値が大幅に改定されたことで、民間の指標の信頼性がより重視される可能性もあり、どの指標の反応が大きくなるのかも関心が集まる。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
