19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米10年債利回りが4.29%台まで低下し、米国株相場が軟調に推移したことで147.45円まで下落した。ユーロドルは、ウクライナ情勢を巡る緊張が緩和するとの期待から1.1693ドルまで上昇した後、1.1642ドル付近まで値を下げた。
本日の東京外国為替市場のドル円は、22日のジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演を控えて動きづらい展開の中、米10年債利回りが低下していることで上値が重い展開が予想される。
ドル円のテクニカル分析では、8月1日の高値150.92円から146円台まで下落した後、149円台前半の200日移動平均線が上値を抑える形で、146円台-148円台での保ち合い、フラッグを形成しつつある。おそらく、22日に発表される日本の7月消費者物価指数(CPI)や23時に予定されているジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演までは、方向性を見出せないでレンジ相場に終始する可能性が高いと思われる。
8時50分に発表される7月貿易統計では、対米貿易黒字に注目しておきたい。ラトニック米商務長官は、日本との貿易合意に関する文書は数週間後になるとの見方を示している。
22日のパウエルFRB議長の講演が待たれる中、色々な重要なイベントの開催が先送りされつつある。
昨日開催された自民党総裁選管理委員会の後、委員長の逢沢衆院議員が、過半数が要求すれば臨時総裁選を実施することになる、と述べており、月内にも方向性を決め、9月に臨時総裁選の実施を目指す向きがあることが示された。
ウクライナ戦争の停戦に向けては、15日にトランプ米大統領とプーチン露大統領の米露首脳会談、18日にゼレンスキー・ウクライナ大統領とトランプ米大統領の首脳会談、19日に臨時欧州連合(EU)首脳会談が行われ、数日以内にウクライナの安全の保証計画に着手すると報じられている。そして、米ホワイトハウスは、トランプ米大統領、プーチン露大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領による3者会談を、ハンガリーの首都ブダペストで開催することを検討している、と報じられている。
ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)は、大手銀行の資本規制見直しやデバンキング(口座強制解約)の根絶など、自身が担う監督分野の取り組みに引き続き注力する考えを示したものの、金融政策への言及はなかった。また、次期FRB議長候補に挙がっていることで、FRB議長職に関心があるか、との質問に対しては明言を避けた。
ベッセント米財務長官は、9月1日のレーバーデー前後に次期FRB議長候補11人と面会する予定だと述べた。さらに、米国の関税収入は年初の予想の3000億ドルを大幅に上振れするとの見方を示した上で、政府は関税収入をまず連邦債務の返済に充てると述べた。
昨日、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、米国のソブリン格付け「AA+/A-1」を据え置き、見通しは「安定的」としたが、理由としては、「関税収入が最近の予算関連法による財政赤字拡大を相殺する可能性がある」との見方を示した。ドル円は、ヘッドラインに反応して148.11円まで上昇したものの、一時的だった。
11時に発表されるニュージーランド準備銀行(RBNZ)の政策金利は3.00%への引き下げが見込まれている。声明やホークスビーRBNZ総裁の記者会見などから、ターミナルレート(利下げの最終到達点)を見極めたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
