昨日の海外市場でドル円は、日本時間夕刻に一時146.69円と日通し安値を付けたものの、NY連銀が公表した7月の期待インフレ率の上昇したこともあり147.59円付近まで値を戻した。ただ、「FRB理事候補にミラン氏を選出した」との発言が伝わると全般ドル売りが活発化し、再び147円を割り込んだ。ユーロドルは1.1611ドルまで下落後1.1671ドル付近まで持ち直した。なお、ポンドは英中銀(BOE)が利下げしたものの、利下げに賛成したメンバーが予想よりも少なく、物価見通しを上方修正したこともあり上昇した。
本日の東京時間でのドル円も、引き続き147円台を中心としたレンジ取引になりそうだ。ただ、リスク要因としてはドル売り圧力が強いことには警戒したい。また、多くの輸出・輸入企業が13日から始まるお盆を前に、11日から長期の夏季休暇に入る。連休前の本日に実需勢のドル買い・ドル売りともに散見されることが予想され、本邦勢のフローが相場を急転させるリスクには備えておきたい。
ドル売り圧力が強いのは、本日付で退任するクーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事の後任が、米大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長になる可能性が高まったことが一因。ミラン氏が就任することになると、今後のFRBがハト派に傾くことと、政権の意向を丸呑みすることでFRBの独立性の問題という、2つの面でドル売り要因となる。
理事の就任期限は、クーグラー氏の当初の期限満了となる2026年1月末までとなり、通常のような14年の任期ではない。ミラン氏は9月に上院が再開されるまで承認される可能性は低いが、承認された場合はトランプ米大統領の意向を完全に組む姿勢を見せるだろう。ベッセント米財務長官は以前、FRBが政権の要求を満たさなくても、金融政策に関するホワイトハウスの立場を表明する反対意見を持つFRB理事会メンバーがパウエル総裁の立場に対抗できるとして、影の議長設置を提唱したことがある。ミラン氏がこの役を担い、パウエルFRB議長を中心にトランプ大統領の意に沿わない理事たちへ圧力をかけていくことになる。
また、現政権メンバーがFRB職に就任したことで、週末に解雇されたマッケンターファー米労働省労働統計局(BLS)局長の後任も、同様にトランプ大統領の子飼いになる可能性が高まっていることも懸念材料。今後BLSが発表する消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)の指標結果などが不自然なまでにインフレ低下となり、トランプ大統領が望む利下げに忖度した結果になる可能性もありそうだ。
なお、本日は本邦から6月家計調査、国際収支速報、7月景気ウオッチャー調査などが発表されるが、ここ最近の本邦経済指標への反応は鈍く、無風に終わる可能性が高い。ただ、自民党が両院議員総会を開催することで、政治的動向が相場に影響を及ぼす可能性もあることには注意したい。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
