昨日の海外市場でドル円は、米長期金利の上昇などを手掛かりに円売り・ドル買いが先行すると147.83円まで上昇。ただ、7月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数が予想を下回ると若干伸び悩んだ。ユーロドルは1.1528ドルまで下落後、米ISM非製造業指数が予想を下回ると一転ユーロ買い・ドル売りが優勢となり1.1586ドル付近まで持ち直した。
本日の東京時間でのドル円は、引き続き国内からのイベント等が少ないことで値動きは限られそうだ。ただ、トランプ米大統領の突発的に出てくるSNSでのコメント等には警戒しておきたい。
先週の雇用統計のダブルショック(大幅な下方修正と局長解任)以後、相場の中心がNY時間に移っている。特に本日はクック米連邦準備理事会(FRB)理事、コリンズ米ボストン連銀総裁、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁などの講演が予定されていることで、FRB要人の発言には注目が集まる。3者とも先週の雇用統計後初めてとなる講演ということで、ボウマンFRB副議長が「今後のFRBは雇用維持に重点を置くべき」との見解を示したことに追随するような発言があった場合には、今後の利下げ期待がさらに高まりドル売りを促すことになりそうだ。
また、今週末8日に辞任するクーグラーFRB理事と、週末に解雇されたマッケンターファー米労働省労働統計局(BLS)局長の後任人事にも要注目。FRB理事については、昨日トランプ米大統領がCNBCのインタビューで、ハセット米国家経済会議(NEC)委員長、ウォーシュ元FRB理事を候補としてあげ、引き継いだ理事がパウエルFRB議長の任期満了後には議長に就任する可能性も示唆した。いずれもハト派となることで、トランプ大統領の思惑通りに理事会で政策金引き下げ路線へと導くことになりそうだ。
BLS局長に関しては候補者名があがってはいないが、トランプ大統領に忠誠を示す候補が任命されることは確実。局長の経歴や経験値などにより、市場がBLSの今後発表される経済指標に透明性と信頼性が保てないと判断した場合には、米国売りが進むことには警戒が必要だ。BLSは雇用統計だけではなく、インフレ指標である消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)等も発表している。
東京時間では、6月の毎月勤労統計調査が公表される。現金給与総額は前月の1.4%増から3.1%増へ上昇する予想。ただ注目は現金給与総額よりも実質賃金の推移。実質賃金は、先月は確報値で2.6%減となるなど、今年に入り5カ月連続でマイナスとなっている。政局が物価高対策として給付や減税が争点となる中で、石破首相は何よりも賃上げと述べている。実質賃金が一向に上昇傾向に辿らないことが確認されれば、物価対策が遅々として進まない責任として退陣圧力も高まり、政局に影響を与えることもあるか。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
