昨日の海外市場でドル円は、米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.32%台まで低下したことなどを手掛かりに円買い・ドル売りが先行し146.31円まで弱含んだ。ユーロドルは米金利低下や米経済指標の下振れを理由にユーロ買い・ドル売りが活発化すると、前日の高値1.1717ドルを上抜けて一時1.1760ドルまで上値を伸ばした。
本日の東京時間でのドル円は、引き続き上値が重い展開を予想する。参議院選挙の週明け21日は、国内の外国為替証拠金取引(FX)業者の取引開始となる7時を過ぎると148.66円まで上昇したが、すぐに上値が抑えられた。昨日22日には、海の日で休場明けとなった本邦勢の参入後は147.95円まで上昇した。しかし、その後は再び上値が抑えられ、高値から1円64銭売られている。衆議院に続いて参議院で与党が過半数割れとなったことで、財政拡大路線を懸念した円売りを予想していた本邦勢は軒並みコストの悪いドルロングができてしまっているこ。本日はドル円が上昇する局面があった場合は、ドルロングを逃げたい投資家が上値を抑えていくことになりそうだ。
本邦からの経済指標の発表が乏しい中で、本日も国内政治の動向を注目する必要がありそうだ。読売新聞をはじめとした保守系のメディアが石破降ろしに動いているが、8月1日を期限とした日米貿易交渉を前に、首相が変わるのも難しく、交渉の妥結か期限の延長が決定されない限りは早期退陣を期待するのは難しいかもしれない。自民党幹事長を務めるのが農林族のドンとされる森山氏でもあることで、首相交代となると、米をはじめとした農業分野で、これまでの交渉が白紙に戻る可能性もあることが政局を難しくしている。
なお、本日は内田眞一日銀副総裁が高知市で金融経済懇談会であいさつを行う予定。副総裁の発言に注目が集まる。また、財政拡大の可能性がささやかれている中で、本日は40年物国債の入札が行われる。入札後の債券市場の反応が注目されることになるだろう。
市場全体としてドル売りとなっているが、米連邦公開市場委員(FOMC)を控え、19日からブラックアウト期間に入っていることで、米連邦準備理事会(FRB)要人は金利についての発言ができない。一方で、米金利の低下を望んでいるトランプ政権要人の発言が繰り返されることが、ドルの重しになりそうだ。30日のFOMCの結果発表までは米金利低下を促す発言が優勢になることは避けられないか。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
