本日のロンドン為替市場では、ポンドについては序盤に発表される英雇用データを受けた動きが続きそうだ。ユーロは、トランプ関税を巡る欧米関係の行方を見据えながらの取引。また、ニューヨーク早朝(欧州昼過ぎ)には見られるであろうトランプ米大統領のSNS投稿にも、いつものように注意しておきたい。
昨日発表された6月英インフレ率は総じて予想外に高い水準となり、英中銀の利下げペースが鈍るとの思惑が広がった。来月の金融政策委員会(MPC)についても判断が難しいとの声も出てきたが、今のところ依然として0.25%利下げを予想する向きが多い。
英インフレは上振れしたものの、労働市場の状況次第では金利先安観が再び持ち上がってくるだろう。本日発表予定の3-5月英失業率(ILO方式)は予想4.6%と、前回記録した2021年以来の高い水準から変わらず。同時に発表される6月雇用統計もさえない可能性がある。というのも、今週発表された民間の月例調査で、労働市場の急速な冷え込みが示唆されたからだ。
ポンドドルは、月初の1.38ドル手前から今週は1.34ドル割れまで大きく水準を切り下げた。昨日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任に関する観測報道でドル安に振れた場面でも、1.35ドルには届かず。日足一目均衡表・雲の中での推移が続くようだと(上限は本日1.3460ドル)、下押し圧力が徐々に強まることになりそうだ。
ところで、欧州連合(EU)ではトランプ政権による関税強化策に対し反発を強めている。トランプ米政権が30%関税を導入した場合、フランスを含む複数のEU加盟国は強力な報復措置の発動を支持。EU内には慎重派もいるため、一気に貿易戦争へ突入とはならないだろうが、逆に欧州各国の意見の相違が顕著となれば、ユーロは買いづらくなるのではないか。
トランプ大統領のSNS投稿では、対EU関税についてやFRB議長に関するコメントが注視される。特に、パウエルFRB議長の解任は否定したものの辞めてほしいとの考えは隠そうともしておらず、強気な口調に市場は振り回されそうだ。
想定レンジ上限
・ポンドドル、16日高値1.3486ドル
・ユーロドル、16日高値1.1721ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、ピボット・サポート2の1.3303ドル
・ユーロドル、16日安値1.1563ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
