昨日のニューヨーク外国為替市場でドル円は乱高下。6月米卸売物価指数(PPI)の下振れでは148円半ばで下げ渋ったが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任に関する報道で146.92円まで急落。トランプ米大統領が否定すると、148.30円台まで反発する場面があった。ユーロドルは1.1563ドルを底に1.17ドル前半まで急騰するも、一巡後は1.16ドル台で上値を切り下げた。
本日の東京タイムでドル円は、まずは財務省が発表する6月貿易統計を確認し、その後はFRB議長に関する報道には気を付けながらも結局は買い場探しとなるか。ほか豪ドル相場は、6月豪雇用統計を受けた反応が注目される。
6月貿易統計(通関ベース、季節調整前)は市場予想が3539億円の黒字。見込み通りであれば6300億円超の赤字だった5月分からは改善し、3カ月ぶりの黒字となる。ただ、今年1月に記録した2兆7500億円超の赤字が重くのしかかり、本日が予想に沿った結果だったとしても、1-6月の合計では約2兆円の赤字だ。また財務省が参考値として発表する季節調整済の貿易統計では、6月分は4カ月連続の赤字予想。貿易における需給はドル買い円売りに傾いたままと言えるだろう。
昨日のNY市場で相場を騒がせた、トランプ米大統領がパウエルFRB議長を解任する可能性については、大統領自身が否定した。ただし、これまでのトランプ氏の行動・言動を鑑みると、考えをあっさりと変える可能性はないとは言えない。昨年の米大統領選でも話題となったブロックチェーンを基とした予測市場・ポリマーケットでは、今年中にパウエル氏がFRB議長を辞めるかについて、確率が15%前後から22%前後まで上昇している。
FRB議長解任の見込み自体は低いとは言え、火のないところに煙は立たない。一部の欧州金融機関は、トランプ大統領がパウエルFRB議長を解任した場合のリスクについて警告。パウエル議長が辞職に追い込まれた場合はFRBの独立性にとって大きな打撃となり、ドルは3-4%下落するとの予測を示した。米国債も売られ、長期債利回りは30-40ベーシスポイント上昇する可能性があるとしている。
さて、日本時間10時30分に発表の6月豪雇用統計は、失業率が前回と変わらず4.1%が市場予想。一方で豪新規雇用者数は2万人増の予想と、5月分が増加予想を裏切り小幅な減少だったところから改善が見込まれている。前回は非常勤雇用者数の大幅減少が影響しており、豪準備銀行(RBA)の見立ては依然として「労働市場は強く、依然としてタイト」だ。ただし、常勤雇用者数が伸び悩むようだと、8月RBA理事会がハト派に振れるとの思惑が高まるかもしれない。
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
